看護師を志した若者の叫び
2025年8月24日午前10時30分、HTBノンフィクション「看護師になりたかった… ~届かぬ叫び 沈黙の行政~」が放送される。この番組では、看護師を目指していた22歳の男子学生が、自ら命を絶った悲劇を掘り下げていく。彼が友人に宛てた手紙には、「4月からは死なないことを目標に生きていくわ」とあり、その手紙が彼の心の断崖を映し出している。
この痛ましい出来事の背後には、北海道立江差高等看護学院での教師によるパワーハラスメントがあった。道の第三者調査委員会は、彼に対する4件のパワハラを認定し、学校の環境と自殺との因果関係を認めたにもかかわらず、行政の対応は二転三転し、賠償を拒否した。知事すら遺族に謝罪したものの、真実への道は閉ざされていた。
同級生たちは、カメラの前で「パワハラは絶対にあった」と証言するが、彼らの声は官僚制度に飲み込まれ、何も改善されない現実が続いた。実際、江差高等看護学院への苦情は2012年から寄せられており、2021年には12人の学生が35件のパワハラを受けたとされている。関係者の証言からは、行政の沈黙の背景に迫ることが試みられる。
それでも、江差高等看護学院は運営体制を一新し、再スタートを誓った。だが、学生の都会志向が影響し、入学者数は激減。今年の新入生はわずか5人という危機的状況に陥っている。この問題は道内各地でも深刻化しており、同様の事態に直面している看護学校が増えている。
さらに、番組は浦河赤十字看護専門学校と隣接する浦河赤十字病院の現状にも焦点を当てる。看護師不足が病棟閉鎖を招くなど、地域医療は崩壊の危機にさらされていると伝えられている。
このノンフィクションを通して、看護師を目指した若者の抱える苦悩や、彼らが求めた支援の届かなかった背景を明らかにしていく。パワハラによる影響は、彼らの人生を奪っただけでなく、地域社会にも大きな影を落としていることを忘れてはならない。若者たちの声を聞き、彼らが生きることを選べる環境を整えるためには、私たちがどんな行動を取るべきなのか、考えさせられる内容となっている。
その様子を切り取ったHTBノンフィクションは、社会の歪みと向き合う勇気を私たちに与えてくれる。今回は、特に看護学生を志す若者たちに何が求められているのかを真剣に考える機会となるだろう。
番組詳細
- - 番組名: HTBノンフィクション 「看護師になりたかった… ~届かぬ叫び 沈黙の行政~」
- - 放送日時: 2025年8月24日(日)午前10時30分~午前11時25分(北海道ローカル)
- - 番組HP: HTB公式サイト
- - ナレーター: 土屋まり(HTBアナウンサー)
- - スタッフ: 撮影:浅野光宏、音声:森凱政、編集:橋本庸嗣、リサーチ:北村稔、ディレクター:前田愛奈、チーフディレクター:喜多和也、プロデューサー:高橋啓人
このノンフィクションが、多くの人々に深く考えさせるきっかけになることを願って止まない。