ナガセビューティケァのクレンジングクリーム研究
株式会社ナガセビューティケァ(東京都中央区)が、武庫川女子大学薬学部の渡辺教授と共同で行った研究により、同社のクレンジングクリームに特徴的な「生クリームのようになめらかな使用感」の製剤特性が明らかになりました。この研究結果は、2025年7月26日に京都で開催される第43回関西界面化学セミナーで発表される予定です。
研究の背景と目的
クレンジングクリームやハンドクリームなどのクリーム製剤は、水溶性成分と油溶性成分を乳化して作られます。この乳化状態が使用感に大きく影響を与えるため、使用感の測定は化粧品製剤において非常に重要です。しかし、使用感は個人の肌状態や感じ方によって異なるため、定量的な評価方法が求められています。今回の研究では、自社のクレンジングクリームと他社製品との比較を通じて、その使用感特性を明らかにしました。
学会発表の内容
研究では、自社のクレンジングクリームと他の製品について「なめらかさ」や「のびの良さ」といった使用感に関連する物性を評価しました。具体的には、粘度を測定するための定常流測定機を使用し、試料に一定の力を加え続けた際の粘度の変化を観測しました。
この測定により、自社クレンジングクリームは測定直後に粘度が急激に低下し、その後は非常に低い粘度を保つことが確認されました。これに対して、他のクレンジングクリームは粘度が安定しないか、低下するまでに時間がかかることが分かりました。この結果から、自社のクレンジングクリームは「ふんわりとした質感ながらも、塗布すると柔らかいクリーム状に変わる」という生クリームのような特性を持つことが定量的に示されました。
研究の意義と今後の展望
今回の研究は、クレンジングクリームが「生クリームのように滑らかな使用感」を呈する理由が、使用開始直後の粘度の急激な低下によるものであることを定量的に示したものです。この特性は一般的には製品の安定性を損なう要因とされるため、他社には真似のできない独自の特徴といえるでしょう。
今後は、定常流測定に加え、摩擦や付着力の測定を組み合わせることで、さらに詳細な使用感触の定量化が期待されます。ナガセビューティケァは製剤学の観点からも、製品価値の向上を目指して今後も研究を続けていく意向を示しています。
このように、クレンジングクリームの製剤特性に関する研究成果は、消費者にとって重要な使用感を提供する新たな視点を提示しています。