健康や社会関係の価値を金銭的に見える化した新たな研究成果
千葉大学の研究チームが実施した最新の調査により、健康や社会関係、健康行動の価値を金銭的に評価する新しい方法が明らかになりました。この研究は、全国の20歳から79歳の成人を対象にしたインターネット調査データを基に、生活満足度と所得の関係に基づいています。調査の結果、生活満足度が1点高い状態を1年間維持する価値は約151万円ということが判明しました。この研究結果により、従来は「お金」に換算しにくかった幸福や心身の良好な状態、すなわち「ウェルビーイング」の価値が明確に示されました。
研究の目的と背景
本研究の目的は、限られた予算をもとに公的施策や事業の効果を適切に評価し、それを「お金」で共通的に理解できるようにすることです。従来の評価方法では、医療費の削減や生産性損失などが中心でしたが、孤独感や地域社会への信頼、愛着などは評価が困難でした。この研究により、これら「ウェルビーイング」に関連する要素も金銭的に評価できる道が開かれました。
研究成果と分析のポイント
この研究では、約15,000人を対象にした調査を通じて、メンタルヘルス、社会関係、健康行動、ヘルスリテラシー、女性の健康に関する19の指標が生活満足度にどのように寄与しているかを探求しました。特に、1 WELLBY(1点の生活満足度向上に相当する価値)が約151万円と推定されたことで、幸福度向上のための取り組みがどの程度の経済的な価値を持つかが明確になりました。
今後の応用と展望
政策評価や社会的投資収益率(SROI)分析などへの応用が期待されています。今回得られた金銭的な評価値は、異なる事業の効果を比較するための共通基準としても使えると考えられています。医療、介護、社会福祉、地域行政などさまざまな分野において、この研究成果がどのように活用されていくのか、今後の展開が注目されます。
研究の意義
本研究は、今後の健康政策や地域施策において、幸福度と経済的価値を結びつける基盤を提供するものであり、その成果がいかに実用化されるかが大きな関心を集めています。また、自治体や民間企業による費用便益分析の参考値として役立つことでしょう。生活満足度が向上すれば、単に健康が促進されるだけでなく、地域社会全体にとってもポジティブな影響をもたらすことが期待されます。
論文と参考情報
本研究成果は2026年6月13日の学術誌「Value in Health」でオンライン公開されました。具体的な論文の内容は、論文のDOI番号(10.1016/j.jval.2026.05.008)を参照してください。この研究プロジェクトは、“包摂的コミュニティプラットフォームの構築”という戦略的イノベーション創造プログラムの支援のもと実施されました。新たな視点からの健康問題の解決に向けて、期待が高まります。