武蔵台病院とChatworkの協業で医療現場が変わる
埼玉県日高市に所在する武蔵台病院は、地域に密着した医療を提供する病院であり、医療業界の変革の一環として、ビジネスチャット「Chatwork」を導入することにより、医師や看護師の負担軽減と業務効率の向上を実現しています。
1. 医療業界の背景
医療業界は、高齢化の進展と地方や過疎地域における医師不足という課題に直面しています。2024年4月から施行される「医師の働き方改革」により、医師の労働時間が制限されますが、その一方で医療のニーズは高まっています。このような背景下で、武蔵台病院はDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することによって、医療の質を維持しつつ、効率的な業務運営を目指しています。
2. Chatwork導入の経緯
武蔵台病院は、新型コロナウイルスに対する対策として、2020年に「Chatwork」の利用を開始しました。最初はスタッフ間の情報共有を効率化する手段として導入され、その後、医師の働き方改革に対応するための業務効率化に役立つツールとして位置づけられました。
院内の連絡基盤を電話や紙から「Chatwork」に移行したことで、医療チーム内での情報連携がスムーズになり、医師や看護師の負担が大幅に軽減されました。
3. DX推進の成果
労働負担の軽減
具体的な成果として、医師のPHS着信回数は約85%減少しました。従来1日あたり31.5回あった着信回数が、5回にまで縮小されたのです。また、勤務交代時の申し送り時間が短縮され、看護業務が効率化されました。
看護師の交代時には、情報を「Chatwork」で共有することにより、これまで約16.4分かかっていた申し送りが短縮され、業務にかける時間を他の患者ケアに振り向けることができました。
患者ケアの向上
「Chatwork」の導入により、看護師は患者に対してより多くの時間をかけることができるようになりました。患者の見守り時間が増加し、ナースコールの呼び出し回数は40%減少。さらに、褥瘡(床ずれ)の発生率を0%に抑えることも達成しました。これは、患者のケアの質を高める大きな成功です。
4. 今後の展望
武蔵台病院の理事長である河野義彦氏は、DX推進室を設置しさらなるデジタル化を進めていることを明かしました。他の病院との情報共有や他院からの視察受け入れを行い、業務効率化の成果を広めています。
今後も人口減少時代においても地域医療の質を維持し、次世代へと医療のバトンを渡すことを目指しています。
まとめ
武蔵台病院とChatworkの協業によって、生産性の向上と医療品質の向上が同時に実現された事例は、今後の医療現場におけるDXの重要性と可能性を示唆しています。今後もこのような取り組みが全国に広がり、医療現場の負担軽減に寄与することが期待されます。