フィリピンで進行中のGreen Carbonプロジェクト
Green Carbon株式会社は、フィリピン北部のヌエバビスカヤ州で新たなカーボンクレジット生成プロジェクトを開始しました。本プロジェクトは、特に水田に着目し、二国間クレジット制度(JCM)の新しい方法論を利用して、水田からのメタンガス排出を削減することを目指しています。
プロジェクトの概要
このプロジェクトは、メタンガスの排出を抑えるため、間断灌漑(AWD)と呼ばれる水管理手法を導入するものです。2025年1月からスタートし、当初はヌエバビスカヤ州における約3万ヘクタールの水田を対象にしていく計画です。この取り組みにより、今後10年間で約100万トンのカーボンクレジットを生み出すことを期待しています。
さらに、Green Carbon社はブラカン州やバタンガス州でもJCMプロジェクトを進行中で、将来的にはフィリピン全土で100万ヘクタール以上の水田でこの手法を広めることを目指しています。
プロジェクト開始の背景
フィリピンにおける農業分野は、年間約5,400万トンの温室効果ガス(GHG)を排出しています。特に水田からの排出がかなりの割合を占めており、これを減少させることが重要とされています。この背景を踏まえ、Green Carbon社はAWDを用いたプロジェクトの開発を行うことを決定しました。
ヌエバビスカヤ州の特徴
ヌエバビスカヤ州は、稲作に理想的な条件が揃っており、豊富な水資源と安定した気候の下で、年間約290万トンの米を生産しています。この地域では、環境に配慮した農業を推進するため、州立大学と連携し、データ収集と分析を行うことでプロジェクトの効果を検証し、農業の持続可能性を高めていく予定です。
日本とフィリピンの連携
2025年2月、日本とフィリピンのJCMでは、世界初となる水田からのメタン排出削減のための方法論が承認されました。これにより、フィリピンの環境負荷を減少させるだけでなく、日本のGHG排出削減にも寄与することになります。また、この動きは、GX-ETS制度の中で企業の排出量報告における新たな選択肢ともなり、今後ますます注目されるでしょう。
知事のコメント
プロジェクトに先立ち、ヌエバビスカヤ州のJose Gambito知事は、Green Carbon社との協力によって持続可能な発展を目指し、今回のプロジェクトが農民や環境に長期的な利益をもたらすことを期待すると述べました。州政府との連携は、地域における気候行動への新たな一歩となることでしょう。
未来の展望
Green Carbon社は、既にプロジェクトが進行中の州に加え、さらなる地域への展開を計画しています。2030年までには、フィリピン全土で段階的にAWD導入を進め、より持続的な農業実践を広めることを目指します。今後、他の東南アジア諸国でも同様の取り組みが展開されることが期待されています。
このプロジェクトを通じて、環境保護と農業の発展が同時に実現されることができるかどうか、今後の進展に大いに注目したいところです。