AIを導入しても判断が遅れる理由
最近、企業が生成AIを導入しても、意思決定が迅速化されない現象が増えています。AIの力で業務の効率化が図られている今、なぜ人間の判断は逆に遅くなるのでしょうか。意外にも、その要因は能力や経験だけではないことが分かってきました。
AI導入による変化
"AIを使うことで判断が速くなる"と期待されているものの、現実は異なるケースが多いようです。会議や資料が増え、意思決定がもやもやした状態に陥ります。この背景には、情報の異なった見方や基準の違いが影響していると考えられます。
判断の不安定性の理由
さまざまな業務現場で得られた知見から分析すると、判断のブレは「ものごとの見え方・考え方・決め方の前提が整っていないこと」に起因していることが判明しました。例えば、同じデータを見ていても、重要な要素に対する観点が異なると、結論も異なってしまいます。
AIは真の答えを生み出さない
生成AIは瞬時に質問に答えることができますが、その質問内容は人間の前提に依存しています。目的が不明確な質問や、視点が整理されていない指示では、AIから得られる答えも迷走しがちです。つまり、AI時代とは、ただ考える力が必要ないのではなく、考え方の質そのものがアウトプットに影響する時代だと言えます。
判断が停滞する組織の特長
意思決定が遅くなる組織には共通点があります。議論の目的や基準が不明瞭であることが要因です。この場合、個々の「正しい意見」が衝突し、結論に達しづらくなります。この現象は、単なる努力では解決できず、思考の前提を揃える仕組みが必要です。
構造的な解決の必要性
AI時代に求められる判断力や思考力は、単なるひらめきやセンスとは異なります。具体的には、何をどう見るか、どの順序で考え、何を基準にするかが重要です。これらの構造を整えることで、判断が迅速化され、組織の意思決定も一致しやすくなります。
今後の展望
現在、AI時代における的確な判断を生む思考構造を整理し、書籍にまとめる準備を進めています。今後は個人やチームの判断力、AIとの向き合い方についても情報発信を進める予定です。
一考
AIが急速に進化する中、あなたの組織では「考え方の前提」は整っていますか?判断のブレを「人や能力」の問題として片づけていないでしょうか?AI時代だからこそ、改めて「考える力の構造」を見直す重要性が高まっているのかもしれません。
発信者情報
一般社団法人シェアードサービスセンターの代表理事、渡辺明貢氏は、AI時代における企業・組織の課題を業務や思考の構造から整理し、可視化する取り組みを行っています。ITサービス業界での実務経験をもとに、意思決定の質向上を目指しています。詳細は
こちら。