子どもたちの感性を磨く「香りの授業」
2023年6月20日、福井県若狭町立梅の里小学校で開催された「香りの授業」は、SCENTMATIC株式会社が提供する画期的な学習プログラムです。この授業は、4年生と5年生の生徒15名を対象に行われ、青梅の香りをテーマにした特別な体験を提供しました。
嗅覚を活かした新たな教育手法
香りの授業は、2021年から続くプロジェクトであり、地域の香りを通じて故郷への感情的つながりを深めることを目的としています。今回の授業は、特産品である青梅に焦点を当て、「梅育」という町の条例を背景に実施されました。
授業では、皇室献上品種の青梅を使用しており、生徒たちは香りを嗅ぐことで、さまざまなイメージやシーンを思い浮かべることに挑戦しました。「風に揺れるチューリップの景色が浮かんだ」「夕焼け色が見えた」といった子供たちの感想から、その創造力の高さがうかがえます。
授業の進行内容
授業は以下のような流れで進められました:
1. 目を閉じて、香りに集中。
2. 浮かんだ景色やイメージを自由に書き出す。
3. メモから好きな言葉を選び、物語を作成。
4. 完成した物語を発表し合う。
このプロセスを通じて、子どもたちは香りから物語を創作するという新しい経験をし、感性を豊かに育む時間となりました。
研究背景と独自の教育プログラム
セントマティックは、東京大学の農学生命科学研究科との共同研究を通じて、嗅覚とメタ認知に関する知見を取り入れた独自の教育プログラムを構築しています。香りと言葉を同時に体験することで、子供たちの脳が活性化されることが確認されています。こうした科学的知見を基にしたプログラムは、これまでの教育の枠を超える新しいアプローチを提供しています。
子どもたちの声
授業後、児童たちから寄せられた感想も印象的です。5年生の女子は「梅ぼしの味は苦手だけど、香りを感じて物語を作る授業が楽しかった」と述べ、4年生の男子は「こんなに甘くて良い香りがするとは知らなかった。これからはいろんな香りを見つけたい」と語りました。
また担任の斎藤先生も、子どもたちが自らの創造の幅を広げている様子を見て、嬉しそうな表情を浮かべました。「生徒たちの心に残っていた授業」として、再度の開催が決まったことに喜びを感じているようでした。
セントマティックの取り組み
セントマティックは、香りを言語化するAIシステムを駆使して、様々な業界に革新を起こすシステムを開発しています。彼らのビジョンは、香りによって人々の感性を進化させ、様々な経験を通じて新たな価値を創出することです。
「香りの授業」は、その取り組みの一環として位置付けられています。このような新しい学びの形が、福井県若狭町から全国へと広がっていくことを期待したいと思います。