岸田総理が語る気候変動と経済の未来：夏季フォーラム2024

概要

令和6年7月19日、日本経済団体連合会（経団連）夏季フォーラム2024が開催され、岸田文雄総理大臣が講演を行いました。その中で、総理は日本経済において直面する課題や今後の方針について言及し、特に気候変動に対する取り組みと経済政策に焦点を当てました。

気候変動の緊急性

総理は、異常気象が頻発する現状を指摘し、「100年に一度」と言われていた気候変動が、現在では多くの地域で深刻な影響をもたらしていると警鐘を鳴らしました。特に、中部アジアやインドでの高温による被害に言及し、これらの問題が国際的な協力を必要とすることを強調しました。

総理は、先日行われた第10回太平洋・島サミット（PALM10）では、「脱炭素」と「気候変動への適応」について活発な議論が行われたことも紹介。その際、自由で開かれたインド太平洋の重要性を踏まえ、経済界にも新たな関心を持つことを求めました。

経済問題への対応

岸田総理は、経済の持続的な成長に向けた「新しい資本主義」の理念を掲げ、成長と分配の好循環を実現するための政策に取り組んでいることを強調しました。今後は、物価や賃金の上昇が必要であり、各分野において実行力のある政策が求められています。

さらに、ジャパン・アジアゼロエミッション共同体（AZEC）に参加し、アジア地域の成長を支援しつつ、日本の技術力を活かすことで相互利益を生み出す取り組みが重要であるとの認識も示しました。

官民連携の強化

総理は官民連携の重要性を訴え、デジタル化やイノベーションを活用した新たな取り組みが求められていると述べました。特に、気候変動の影響に対して、日本での防災・減災施策の強化が必要であり、国土強靭化についてもデジタル技術を駆使したアプローチが効果を上げていると紹介しました。

例として、AI技術を用いた河川管理のプロジェクトを挙げ、これにより浸水被害が著しく軽減されたことを成果として報告しました。

外交と安全保障

岸田総理は、国際的な安全保障の脅威に直面する中、法の支配に基づく国際秩序の重要性を強調しました。ロシアのウクライナ侵略は、国際秩序に対する明らかな脅威であり、これに対しては日本も積極的な対応が求められています。

さらに、日米同盟の強化や、日韓関係の改善に向けた連携についても言及し、これらの外交努力が国際社会における日本の立場を強化するために不可欠であると語りました。

総理の講演は、現在の日本が直面しているさまざまな課題への具体的なアプローチを提示し、さらなる成長戦略に向けたビジョンを示すものでした。これにより、経済界の皆様にも改革と協力を強く呼びかけました。