外出増と値上げが織りなす消費トレンド - 2024年上半期売れたものランキング
株式会社インテージが発表した「2024年上半期売れたものランキング」は、コロナ禍からの回復と物価高騰が、消費行動にどのような影響を与えているのかを示す興味深い結果となりました。
外出増が後押しする化粧品需要の回復
ランキング1位は、パック(前年比154%増)でした。これは、新型コロナウイルスが5類に移行し、コロナ前に近い生活様式が定着してきたことによる外出増が、化粧品需要の回復を後押ししたためです。特に、韓国コスメや有名タレントによるパックブームなどが、消費者の購買意欲を高めました。
女性での購入率が上昇し、特に30代女性の購入率は前年比5.5ポイント増の24.1%と大きく伸びています。40代女性も20.8%と、15~29歳女性に近づきつつあります。
外出機会の増加は、化粧品だけでなく、靴クリーム(133%増)やリップクリーム(128%増)などのランキング上位入りにも繋がりました。
値上げの影響は主食にも? 米がランクイン
値上げの影響は、食品にも顕著に表れています。ランキング9位にランクインしたのは、日本人の主食である米(118%増)です。
近年、猛暑による作柄の悪化やインバウンド需要による外食向け販売の好調などにより、米の価格上昇が続いています。スーパー、コンビニ、ドラッグストアなどでの袋詰め米の販売が、ランキング上位にランクインしたのは異例です。
一方、家庭での米食は堅調で、特に女性が家事をする家庭における朝食での米食率は、2021年の31.3%から2024年には34.3%と上昇しました。パンの朝食での摂取率は、73.3%から69.1%と減少しており、米食回帰の傾向が見られます。
インバウンド需要がけん引する医薬品市場
インバウンド需要は、医薬品市場にも大きな影響を与えています。ランキング3位には、強心剤(132%増)がランクインしました。外国人旅行客に人気のある商品を中心に、販売金額が伸びています。
ビタミンC剤(119%増)や鎮咳去痰剤(115%増)なども、インバウンド需要に加え、国内需要も好調で、ランキング上位にランクインしました。
コロナ関連商品が苦戦
一方、ランキングではコロナ関連商品が苦戦している様子も見て取れます。
検査薬(47%減)やマスク(75%減)など、コロナ禍で大きく売り上げを伸ばした衛生用品は、ランキングの下位にランクインしています。
オートミール(79%減)も、コロナ禍で大幅な販売増を記録したものの、2023年上半期は反動が出た形です。
今後の消費動向
ポストコロナの行動変容や値上げ、異常気象、経済状況の変化など、人々の生活や消費行動に影響を与える事象は、今後も続いていくでしょう。
インテージでは、年間の売れたものランキングを発表し、これらの事象が消費行動にどのような影響を与えたのかを分析していく予定です。