地方で進まぬ認知症対策、家族信託の基礎を学ぶセミナー開催

認知症による資産凍結問題とその対策

高齢化社会が進む日本では、認知症がもたらす影響がますます深刻になっています。厚生労働省の調査によれば、2025年までに700万人が認知症になると予測されています。認知症になると、銀行口座が凍結されることが多く、財産の管理が非常に困難になります。アパートなどの不動産を所有している場合、売買や修繕、さらには新たな入居契約すら行えなくなるという事態が起こり得ます。

また、認知症が進行すると、悪質な業者による詐欺や不利な契約を結ばされるリスクも高くなります。そこで注目されているのが「家族信託」と呼ばれる制度です。これは、資産の管理を信頼できる人に預ける仕組みであり、特に都市部では活用されている一方で、地方ではまだ広まっていない現状があります。

地方での家族信託の現状

地方では、高齢者の子供が都会に移住するケースが増えており、これが親の資産状況を把握できない要因になっています。さらに、認知症に気づきにくいことから、早期の対策が取られていないのが実情です。家族信託は、事前に資産をどのように管理するかを考えておくことで、これらの問題を回避する有効な手段として期待されています。

具体的なセミナー内容

このような背景のもと、仙台市青葉区にある菊地・小園法律事務所が主催し、銀河不動産と共催で家族信託について学ぶセミナーと無料相談会を開催します。セミナーの内容は、家族信託の利点や成年後見制度との違いについて、わかりやすく解説するものです。

対象者

不動産を所有する50代後半から60代の方、高齢者を持つ家族の方々が主な対象となります。参加は誰でも無料で、専門的な知識を身につける良い機会です。

実績と経験

過去のセミナーでは、具体的な事例を交えて認知症対策に関連する話が多くの参加者から評価されています。例えば、認知症の夫を持つ妻が銀行口座の凍結によって自宅のリフォームができなくなったケースがあります。この際には成年後見制度を利用し、無事にリフォームを実現しましたが、後見人が専門家に選ばれたことにより、長期的に報酬が発生することや、家庭内の理解が十分でなかったことが課題として残りました。