日本社会に広がる対立意識と陰謀論の影響
スマートニュース株式会社のメディア研究所が実施した「スマートニュース・メディア価値観全国調査(SMPP2025)」の結果が発表されました。本調査では、日本国内での政治的や社会的な分断がどのように認識されているか、そしてニュースへの接触状況がどのように影響しているかが探られました。特に注目すべきは、陰謀論的思考が広がっているということです。
調査の背景と目的
SMPP調査は、2025年に実施されたもので、郵送方式で全国から2117件の有効回答が集められました。この調査は2年ごとに行われており、前回のSMPP2023と比較することで、2年という短い期間での対立意識や情報の受け取り方の変化を探ることが目的です。
主な調査結果
対立意識の顕在化
調査の結果、対立が感じられる項目として「労使」「経済」「イデオロギー」などが挙げられ、特に約76%の回答者が経営者と労働者の対立を意識していることがわかりました。SMPP2023では「労使」「経済」「ジェンダー」の順に注意が向けられていましたが、SMPP2025では政治的対立が顕著に影響を与えていることが示唆されています。
また、甘くない社会的対立の中で、多くの人が自身の立場を意識していることが特徴的です。実際に「当事者として意識している対立」では、経営者と労働者、現役世代と高齢者という結果が出ています。
陰謀論の広がり
一方、陰謀論についての調査も行われました。陰謀論的思考を測る尺度では、多くの人が陰謀論的な考えに賛同しており、特に「極秘の事案」や「隠された動機」に関しては、8割以上の人が肯定的な回答をしています。これは、現在の社会の不安定さや不満感から影響を受けている可能性が高いと考えられます。特に生活への不満を抱える人々にとって、陰謀論は一種の解釈を提供しているのかもしれません。
メディア接触と陰謀論
さらに、調査ではメディア接触の種類が陰謀論的思考に与える影響にも注視されています。主なニュースソースとして、新聞を選ぶ人は陰謀論的思考が低く、逆に動画系SNSを主な情報源とする人はスコアが高いという結果が浮かび上がりました。この傾向は、情報の質や信頼性に対する不満から来ているとも考えられ、特に若い世代に顕著です。
結論
日本社会における対立意識と陰謀論の蔓延は、相互に影響し合っており、特に社会が求める情報の質に対する信頼が失われていることが背景にあります。今後は、メディアリテラシーを強化することや、信頼に基づく公共的な情報空間の再構築が求められるでしょう。私たち一人ひとりがこれらの問題と向き合い、理解を深めることが重要です。