環境にやさしい医療用ベッドの新たな挑戦
パラマウントベッド株式会社が発表した「RE-BED project」は、環境に配慮した医療・介護用ベッドの再資源化と事業展開を強化するイニシアティブです。サーキュラーエコノミーの理念に基づき、同社は2012年に導入した環境省の広域認定制度を活用し、使用済みベッドの再生利用を推進しています。
プロジェクトの背景
医療・介護用ベッドは高い耐久性と安全性を持つ一方で、廃棄時の環境負荷が大きな課題とされています。老朽化が進んだベッドが適正にメンテナンスをされずに使用されると、事故の原因にもなります。そこで同社は、これらのベッドを単なる廃棄物ではなく、再資源化可能な資産として位置づけ、リデュース・リユース・リサイクルの原則に基づいて取り組んでいます。具体的には、グループ会社のパラテクノが製品の長寿命化を図り、廃棄物の削減に貢献しており、パラマウントケアサービスが福祉用具のレンタル事業を展開しています。
再資源化の取り組み
パラマウントベッドは広域認定制度を2012年に受け、国内の約200社の収集運搬事業者と連携し、独自の回収スキームを構築。現在では約2700の事業所と協力しており、2024年には処理量が1万2000トンを超える見込みです。再資源化されたベッドの累計は約8万5000台に達し、廃棄処理はほとんどなく、再資源化率は99%となっています。これにより再生材料の活用が進み、環境負荷の低減に大きく寄与しています。
日本初の水平リサイクル技術
同社は2022年から使用済み製品を再活用する「水平リサイクル」技術の実用化に挑戦してきました。この技術により、在宅介護用ベッド「楽匠Fit」には、使用済みの「楽匠」シリーズから再生された樹脂を含有した新たな樹脂ボードが採用されており、これは日本初の試みです。再生樹脂を使用することで、CO2排出量を大幅に削減することが期待されます。
未来への展望
「RE-BED project」を通じて、同社は今後、介護施設や医療機関への製品提供を拡大し、廃棄物処理から製品設計まで一貫した環境配慮型の取り組みを強化していく方針です。また、使用済みのベッドの処理量を増やし、再生樹脂材の含有率を高め、環境に優しい製品づくりを進めます。プロジェクトは「WELL-BEING for all beings」ブランドメッセージのもと、持続可能な社会の実現に寄与することを目指しています。
この「RE-BED project」は、ただの廃棄物処理にとどまらず、循環型社会の構築を目指した重要な取り組みとして位置づけられています。今後、より多くの業界関係者や消費者と連携し、より良い未来を築くために活動を進めます。