アボットの新しい脊髄刺激システム「Eterna」
2024年9月19日に厚生労働省から製造販売承認を受けたアボットの「Eternaニューロスティミュレータ」が、2025年1月より日本で順次販売を開始しました。この画期的なシステムは、慢性疼痛を持つ患者に新たな希望をもたらすものです。Eternaの特徴は、脊髄に微弱な電流を送ることで痛みを和らげ、年間5回程度の充電で運用できる点です。これにより、患者は充電の手間から解放され、日常生活をより快適に過ごすことが可能になります。
植込み型の進化
慢性疼痛は成人の約22.5%に影響し、推定患者数は2300万人以上。日本における慢性疼痛の経済的な影響は約2兆円に上ると言われています。こうした背景から、脊髄刺激療法(SCS)は30年以上にわたり使用されており、近年の技術革新によりさらなる可能性が模索されています。Eternaは、特に慢性疼痛を抱える人たちのニーズを考慮して開発され、22%の小型化を達成しています。これにより、患者にとっての身体的負担が軽減されています。
BurstrDR™刺激技術の搭載
この新しいデバイスは、アボットの「BurstDR™刺激技術」を使用しており、これにより痛みの感覚をより効果的にコントロールできます。臨床試験では、従来の刺激方法よりも痛みを軽減するデータが示されています。患者の87%が「BurstDR刺激」の方が好ましいと回答しており、その効果が証明されています。
充電と利便性
Eternaの設計には、アボットの「Xtend™エナジー技術」が組み込まれており、通常の使用条件下では年間5回の充電で済むため、非常に利便性が高いです。ワイヤレス充電にも対応しており、より快適な生活をサポートします。また、「TotalScan™ MRI技術」により、患者はデバイスが埋め込まれていても全身MRIを受けることが可能です。
患者の声
兵庫医科大学病院の高雄由美子教授は、Eternaの登場に期待を寄せています。日本では多くの患者が慢性疼痛に苦しんでおり、確実な治療法が求められている中、SCSが持つ治療効果に注目が集まっています。彼女の言葉を借りるなら、「Eternaの発売が多くの患者にとって希望の光となることを願っています。」
アボットのビジョン
アボットのカントリーマネージャー藤本祐介は「我々は長年にわたり、慢性疼痛に苦しむ患者のための最良の治療プロセスを提供してきました。Eternaは、その使命をさらに推進していくための重要な一歩です」と述べています。今後もアボットは、新たな治療選択肢を提供し続けることで、患者の生活の質を向上させるために努めていくでしょう。
結論
Eternaは単なる医療機器ではなく、慢性疼痛に苦しむ多くの人にとっての新たな希望の象徴です。これからの治療の選択肢として、Eternaが大いにご期待されることは間違いありません。