概要
株式会社リチェルカは、茨城県庁と共同で次世代AI-OCRシステム「RECERQA Scan」の導入に向けたPoC(Proof of Concept)を開始しました。この新たなAI技術は、特に非定型書類の読み取りに焦点を当てており、自治体における書類処理の効率化が期待されています。これはリチェルカにとって初の全国自治体での導入事例となります。
課題背景
茨城県では、知事の大井川和彦氏のもと、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する取り組みが行われています。就任から約4か月で電子決裁システムの利用率を13%からほぼ100%に引き上げた実績があり、さらにRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入によって業務時間を年間で約7.5万時間削減しました。
しかし、今までの取り組みでは支払票や旅費精算に関わる手入力や目視チェックが残っており、従来のAI-OCRは多様な書類フォーマットに対応するには設定や学習が必要なため、業務に適合しづらい状態でした。この課題を克服するため、リチェルカの「RECERQA Scan」が注目されることになったのです。
「RECERQA Scan」の特徴
「RECERQA Scan」は、生成AIネイティブな特性を持つため、異なるフォーマットの書類でも高い読み取り精度を実現します。また、従来型のAI-OCRとは異なり、事前に書類のレイアウトを学習する必要がなく、ユーザーが読み取りたい項目を直接指示するだけで、あらゆるフォーマットに対応可能です。この利便性が、採用の大きな理由となっています。
PoCの実施内容
PoCは2025年7月から9月にかけて約3か月間実施され、会計事務局(支出管理)や総務部(旅費精算)が対象です。具体的には、支出チェック時の帳票仕訳や、旅費申請に必要な情報の自動入力の自動化などを検証します。主な検証項目には、書類の自動判定、項目抽出精度、手作業削減時間が含まれます。
期待される成果
PoCの結果、効果が確認されれば、他の業務フローや部門へと展開が見込まれており、行政のペーパーレス化が一層進むと期待されています。
代表者のコメント
茨城県庁のDX推進担当である稲垣様は、「従来型OCRではテンプレート作成が必要で効果が限定的であったが、RECERQA Scanに出会ったことで高精度でデータ化できる製品を見つけたと感じた」とコメントしています。また、リチェルカの代表取締役CEOである梅田祥太朗氏は、「このプロジェクトを通じて、全国の自治体が抱える課題解決を後押しできると確信している」と意気込みを語っています。
会社紹介
株式会社リチェルカは2022年に設立され、AIの社会実装を目指しています。特に、業務のデジタル化や自動化を促進するために、各種AIソリューションを開発・提供しています。これからの展開が楽しみな企業です。
最後に
茨城県庁での「RECERQA Scan」のPoCは、その成果が注目され、今後の自治体業務のデジタル化に大きな影響を与えそうです。リチェルカの任務である“できないを解決する”が実現される日が待たれます。