新たな物性の発見
静岡大学理学部の野村肇宏講師を中心とした研究グループが、国際的な共同研究を通じて、スキルミオン物質Cu2OSeO3におけるマグノンのボース−アインシュタイン凝縮(BEC)の存在を初めて明らかにしました。この研究成果は2026年2月19日に、アメリカ物理学会の国際雑誌「Physical Review Letters」に掲載され、注目論文として選ばれました。
研究の背景
Cu2OSeO3は絶縁体として知られ、最初に磁気スキルミオンが発見された物質です。これまでの研究では、弱磁場領域での物性に焦点を当てており、特に数ミリテスラの弱磁場でスキルミオンが現れることが注目されてきました。しかし、強磁場領域における物性は未解明の部分が多くあり、新たな発見が求められていました。
研究の進展
研究チームは、東京大学物性研究所にある破壊型超強磁場発生装置を使用して、Cu2OSeO3の磁化過程を詳細に調べました。特に、磁化が飽和する直前の超強磁場領域に焦点を当て、新しいマグノン凝縮相を発見しました。具体的には、1−180テスラという幅広い磁場域で観測されたドーム状の異常が、マグノンのBECに対応することを突き止めたのです。
特徴的な発見
Cu2OSeO3の研究において特筆すべきは、マグノンBECがスピン四量体に基づいている点です。これは、従来のスピン二量体と異なる新しい魅力的な物性を持っていることを示唆しています。この発見は、マグノンBECの普遍性を示しており、今後も他の物質群でのさらなる研究が期待されます。
研究者のコメント
研究を率いた静岡大学の野村肇宏講師は、「極限環境では未知の物性が明らかになります。今回の結果は予測していたものではなく、解釈に約3年を要しました。この成果が新たな研究の扉を開くことを期待しています」と述べています。彼の言葉が、この分野に対する期待感を一層高めます。
将来の展望
今回の発見は、スキルミオン物質における新しい物理現象を衝撃的に示しており、今後の研究が非常に楽しみです。マグノンBECの理解を深め、様々な物質での応用が展望されています。
論文の掲載情報
- - 掲載誌名: Physical Review Letters
- - 論文タイトル: Quintuplet Condensation in the Skyrmionic Insulator Cu2OSeO3 at Ultrahigh Magnetic Fields
- - 著者: T. Nomura, I. Rousochatzakis, O. Janson, M. Gen, X.-G. Zhou, Y. Ishii, S. Seki, Y. Kohama, and Y. H. Matsuda
この研究が、物理学の新たな地平を切り開くことを期待し、今後も注目していきたいと思います。