美術鑑賞の新しい視点を探る展覧会
愛知県高浜市に位置するやきものの里かわら美術館・図書館では、2024年11月30日から2025年2月9日まで、特別展「美術鑑賞の『さしすせそ』」が開催されます。この展覧会は、約70点の館蔵作品を通じて、美術鑑賞の楽しみ方を再発見することを目的としています。
展覧会のタイトルである「さしすせそ」は、調味料の順番を記憶するための言葉として知られていますが、本展では美術鑑賞の提案として活用されます。具体的には、
- - さ=作品
- - し=色面
- - す=スケッチ
- - せ=線描
- - そ=想像力
と、五つの視点にカテゴライズされています。
色面が生み出す美の世界
この展覧会では、特に注目されているのが遠山清の作品「(女性のいる風景)」(1933年頃)です。この作品は、色面がテーマとなり、老木のアーチが視線を田園風景へと誘導する美しさを持っています。柔らかな色調が生み出す光と影の効果を通じて、観る者に深い思索を促します。
また、清水九兵衞の「PACK-14」は、想像力を働かせる必須の作品です。アルミニウム製の円柱に覆いかぶさる陶製の円筒は、素材の特性を活かし、そのひずみを受け入れることで独自な造形美を追求しています。
多様なアートを楽しむ
本展では、郷土作家を中心とし、時代や技法を超えた多様なジャンルの作品が展示されます。油画、書、彫刻といったさまざまな形式のアートが揃っており、観覧者は同時に多面的なアート体験を楽しめるのが魅力です。
この機会に「さしすせそ」のキーワードを参考にしながら、美術作品の持つ奥深い魅力を探求してみてはいかがでしょうか。
関連イベントの紹介
展覧会期間中には、ギャラリートークやワークショップなどの関連イベントも用意されています。特に、12月7日、1月19日、2月1日のギャラリートークでは、当館の学芸員が「さしすせそ」をテーマにした作品解説を行います。参加は無料で事前申込も不要ですので、気軽に参加できるチャンスです。
さらに、11月30日には「青墨で来年の干支を書く」ワークショップがあり、特別な墨を使って思い出に残る字を書ける体験ができます。
また、12月22日には「プレス機で年賀状作り」のワークショップも開催され、印象深い年賀状を自作する楽しさが味わえます。1月26日には「飴細工体験」のワークショップもあり、自分だけの作品を作ることができる貴重な体験です。
美術館の概要
高浜市やきものの里かわら美術館・図書館は、高浜市の文化発展に寄与すべく、地域との連携を大切にしながら多様な事業を展開しています。この複合文化施設では、瓦をテーマにした展覧会も行われており、「みんなで美術館」をキャッチフレーズとしてさまざまな人々が集まる場所を目指しています。
美術鑑賞の新しい可能性を探るこの特別展、「美術鑑賞の『さしすせそ』」にぜひ足を運んで、アートの世界をより深く楽しんでください。