株式会社SUPWAT、横山CEOが科学技術賞を受賞
株式会社SUPWAT(スプワット)は、代表取締役CEOの横山卓矢氏が、一般社団法人日本高圧力技術協会より令和7年度「科学技術賞」を受賞したことを発表しました。本賞は、圧力技術の発展に寄与した論文や報告等に授与されるもので、近年特に注目を浴びています。
受賞論文の背景と目的
横山氏は、東京大学生産技術研究所の竹本真一郎氏との共著で、論文「機械学習を用いた樹脂ライナー複合高圧水素容器の最適設計仕様探求」を発表しました。この研究は、環境に優しい水素エネルギーの利用を進めるために不可欠な高圧水素容器の開発において、安全性を保ちながらコストと時間を削減する方法を模索しています。
高圧水素容器の設計は非常に複雑で、長期間の試験を必要とすることから、開発の効率化が求められています。特に、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を活用することで軽量化が図られ、かつコストの低減にも寄与することが期待されています。
機械学習による最適設計
この研究では、高圧水素容器の最適設計を機械学習を活用して自動化する技術を開発しました。具体的には、以下のような方法論が採用されました。
1. 有限要素法を用いた破裂圧力解析とAIによる最適化アルゴリズムを融合させた設計の自動化。
2. 炭素繊維の破断を引き起こす「ひずみ」の精密評価を行い、最小限の材料で安全性を確保。
3. メゾスケールモデルを使用して局所的なひずみ誤差を補正し、高精度な設計を実現。
4. 遺伝的アルゴリズムを駆使して設計空間を探索し、多目的最適化を通じて最適な設計パターンを導く。
設計の成果と意義
これらの手法により、内容積あたりのCFRP使用量を最大で43%削減することに成功しました。また、ドーム部と胴部それぞれのひずみ分布の均質化が進み、負荷分担の最適化が実現されたのです。これらの成果は、将来的な金属部位を含む全体構造の最適設計への道筋を示すものと評価されています。
未来への展望
研究の実用化に向けた取り組みが進んでおり、水素自動車のさらなる軽量化と低価格化への期待が高まっています。今後は金属部材やシール構造を含む総合設計を視野に入れた研究を継続する方針です。さらに、本手法を利用したCFRPを用いた高圧水素容器は、水素燃料電池車を含む多様な分野での応用が期待されています。
SUPWATは、軽量かつ安全な新構造の燃料タンクの開発を進め、一層の技術革新を追求しています。「知的製造業の時代を創る」というビジョンのもと、広範な産業への技術応用を積極的に進めていく予定です。こうした取り組みにより、製造業全体を変革していくことを目指しています。
会社情報
株式会社SUPWATは、2019年に設立され、東京都中央区に本社を構えています。エンジニアリングチェーンの最適化を目指すDXプラットフォーム「WALL」を提供しており、すでに国内の多くのエンタープライズ企業に導入されています。今後も更なる技術開発に努めていく所存です。