シニアビジネスパーソンのモチベーション低下
最近、株式会社日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)が実施した調査から、50代以上のビジネスパーソンの95%以上が仕事へのモチベーションが低下しているという驚くべき結果が得られました。
調査の概要
この調査は、2024年5月にインターネットを通じて行われ、有効回答数は756名にのぼります。特に目を引くのは、モチベーションが低下している主な理由として「業務量の多さ」「求められる役割の変化」「給与減」が挙げられたことです。
対象者の96.6%が業務において自身のモチベーションを「4以下」と評価し、37.1%が「2以下」と回答。このことから、多くのシニアビジネスパーソンが低いモチベーションで働いていることが明らかになりました。
モチベーション低下の具体的な理由
年齢別に見ると、50〜54歳では「業務量が多すぎる」が約31.5%を占め、55〜59歳では「求められる役割が変わった」が28.4%となっています。60歳以上のビジネスパーソンにおいては、もっとも多い理由が「給与が下がった」で36.8%となり、経済的な側面が大きく影響していることが分かります。
働きたい意欲
驚くことに、現在の勤務先で「働けるだけ働きたい」という希望を持つ人が39.9%、さらに66歳まで働きたいと考えている人が31.2%に達しています。特に60歳以上の回答者の中では、約90%がこのように考えていることから、年齢が上がるにつれ、今の職場での継続的な働き方を求める声が高まっています。
ただし、即座にでも離職したいという希望を持つ人は全体の15.4%に過ぎず、年齢が上がるにつれて離職希望者は減少する傾向にあります。これにより、年齢を重ねたビジネスパーソンの方が、仕事を続ける意欲が強いことが伺えます。
定年後の希望
定年後や離職後の希望に関しても調査が行われました。最も多かった回答は「スキルを生かして、同業や同じような仕事に携わりたい」で33.7%でした。さらに「まだ考えていない」という回答が28.6%、趣味や家族との時間を重視するという回答も23.5%にのぼります。ポジティブなシニア(仕事内容に満足している人)は、44.2%が今後も同じ業界での仕事を希望しているのに対し、ネガティブなシニアの同設問に対する回答者は22.7%でした。
シニアの将来を見据える
調査結果から、キャリアや職場に満足しているシニアパーソンは今後に対しても前向きな姿勢を見せていることが分かります。一方で、キャリアに不満を感じている人々は次のステップに対して消極的であることも示唆されています。
この調査結果は、50歳以降の生き方や働き方についての課題を浮き彫りにし、今後の人材開発や組織運営において重要な視点を提供してくれるものです。多くのシニアが自身のキャリアにおいて満足感を持てるような環境を整えるためには、企業側の取り組みが必要不可欠です。
参考文献
この調査結果をもとにした特集記事は、人材開発専門誌『Learning Design』の最新号に掲載されています。特集は「50代はどう生きるか」で、詳細な情報や今後の働き方についての提言が紹介されています。興味のある方は、ぜひご覧ください。
この調査を通じて、シニア世代のビジネスパーソンの実態が見えてきました。彼らが次に向かうべきステップに、企業や社会がどのように寄り添えるかが今後の課題となるでしょう。