eラーニングの実態と課題
最近、ある調査が実施され、eラーニングの受講状況に関する興味深い結果が報告されました。株式会社オトバンクが行った調査では、20~69歳の会社員400名のうち、42.5%がeラーニングを完了したと回答したものの、リモートワークを実施している社員の完了率は30.7%にとどまり、驚くべき実情が露呈しました。さらに、受講中に他の業務を行う「ながら受講」を経験した割合は80.5%に達し、これは言葉通り研修の形骸化を示す結果となっています。
調査の背景
2023年3月に発表された「人的資本可視化指針」では、会社が求める人的資本の開示が強化され、研修の成果を示すことの重要性が高まっています。しかし、eラーニングを導入した企業からは、「利用率が上がらない」という声が続出し、その根本的な原因を探るために今回は調査が実施されました。
受講完了率の低さ
全体の受講完了率は42.5%と、明らかに不足していることは言うまでもありません。特にリモートワークをしている231人に絞ると、完了者はわずか30.7%で、これは研修の効果がしっかりと発揮されていないことを意味します。リモート環境での効果的な学習支援が求められています。
なぜ受講しにくいのか
受講を阻む壁として挙げられているのは、「興味が持てない」「長時間の視聴に負担を感じる」「モチベーションが湧かない」「学習時間を確保できない」といった心理的・時間的な要因です。今回の調査では、受講できなかった230人の内、「内容に興味がない」と答えた人が33.5%で最も多かったことから、内容の魅力や構成次第で受講率が大きく異なることが浮き彫りになっています。
業務と平行した受講
興味深いことに、80.5%もの社員が「ながら受講」の経験があると回答しています。これは、実際に受講が進んでいるのではなく、数字上はログが残るものの学びが伴っていない証拠です。本来のeラーニングの目的である学習が薄れていることが懸念されています。
学びたい意欲とeラーニングの不満
調査を進めた結果、81.8%の人々が学び続ける必要性を感じているにもかかわらず、「受講準備が不便」や「長時間の視聴が疲れる」といった不満が多く上がっています。まさに「学びたいのに合わない」という矛盾した状況が生まれています。
理想の学習環境
参加者が望む学習環境として、「短時間で学べる」「ながら学習が可能」「自分のペースで学べる」や「スマホで学べる」という回答が多く見られました。特に日常生活に溶け込む学習のニーズが高まっていることが伺えます。社員が気軽に学びを取り入れられるような環境整備が急務です。
新たな学習スタイルの模索
オトバンクの上田氏は、企業が研修の量だけでなくその質も重視すべきと述べています。今こそ、「忙しい日常に自然に溶け込む学習スタイル」が必要です。通勤時やスキマ時間を利用し、興味に応じた知識を耳から取得できる環境が整えば、より自律的な学びが促進されるでしょう。企業の研修とそれぞれの社員の自主的な学びをうまく融合させることが、これからの持続可能な人材育成の鍵となるでしょう。
アンケート調査概要
調査実施日:2023年6月12日
調査対象:20〜69歳の正社員(過去1年以内にeラーニングの受講義務があった人)
有効回答数:400名
調査方法:インターネット調査(Freeasy利用)
この調査結果は、eラーニングの利用実態を把握するための貴重なデータです。企業での教育プログラムの改善や、社員のモチベーション向上につながるきっかけとして、多くの企業が注目すべき内容となっています。
まとめ
これからのeラーニングに求められるのは、ただ受講させるのではなく、受講者自身が興味を持ち、普段の生活の中で学びが取り込める仕組みです。次世代の人材育成は、社員自らが主体的に学ぶ環境の整備によって真の成長を実現することでしょう。