京都のベンチャー企業が挑む新たなプロジェクト
京都市を拠点とする株式会社坂ノ途中と株式会社バイオームが、ガラパゴス諸島の生態系の保全及び小規模農家の支援に向けた新たな取り組みを開始しました。このプロジェクトは、2025年度のJICA共創×革新プログラム「QUEST」に選ばれたことを受け、多様な生物が暮らすガラパゴス諸島の保護に貢献することを目的としています。
1. ガラパゴス諸島の現状
ガラパゴス諸島は、固有種が約9,000種も存在する特異な生態系を持っており、その生物多様性は世界的にも注目されています。しかし、外来種の影響や観光業の急成長、農地開発、気候変動といった要因によって、これらの生態系は深刻な危機に直面しています。国際的にはこの地が世界自然遺産として重要視されていることもあり、持続可能な農業と観光業を両立させるための科学的データに基づくモニタリングが緊急の課題とされています。
2. プロジェクトの目的
坂ノ途中とバイオームの連携によるこのプロジェクトでは、アグロフォレストリーの手法を用いたコーヒー栽培が行われ、生物多様性を保全しつつ農業の生産性を高めることを目指します。アグロフォレストリーとは、樹木と農作物を同時に栽培する持続可能な農業手法です。ここでは、海ノ向こうコーヒーが現地で栽培のサポートを行い、バイオームが独自のモニタリング手法を用いて効果を検証します。得たデータを基に商品企画と販売を行い、売上の一部を環境保全活動に再投資することを計画しています。
3. 両社の強みを生かしたアプローチ
坂ノ途中の役割
坂ノ途中は、高品質な農産物を農薬や化学肥料を使わずに生産することを目指して運営されています。あらゆる生産者にとって公平な販売システムを構築しており、特に新規就農者の支援に力を入れています。今回のプロジェクトで提供されるコーヒーは、環境にも配慮した製品です。
バイオームのテクノロジー
一方、バイオームは独自に開発した生物多様性モニタリング手法を活用して、生物情報に関するアプリやプラットフォームを展開しており、企業や自治体と連携した多様なプロジェクトを推進しています。このプロジェクトでは、その技術を生かして生態系の保全に寄与します。
4. 将来に向けて
この取り組みを通じて、ガラパゴス諸島だけでなく、同様に生物多様性が危機に瀕している地域にも展開していくことが目指されています。各地の生物多様性を保全し、小規模農家の生計を向上させることが、両社の長期的なビジョンです。
今後の進捗に注目が集まる中、京都から生まれる新たな可能性が、持続可能な未来を築く一助となることが期待されています。