G7首脳への熱帯病対策の提案
日本の福岡を拠点とする一般社団法人NTDs Youthの会は、カナダで開催されたG7首脳会議に合わせ、国際的なユース団体と連携して、顧みられない熱帯病(NTDs)に立ち向かうための重要な共同声明を発表しました。これは、世界で約15億人が影響を受けているNTDsに対する持続可能な資金提供と政治的リーダーシップを求めるもので、NTDsの研究や予防、治療を充実させるために、新たな取り組みを訴えています。
NTDsとは何か?
NTDsは、主に熱帯地域の貧困層に多く見られる感染症や寄生虫疾患の総称です。デング熱やハンセン病、狂犬病など、計21種類以上の疾患が含まれています。これらの病気は治療可能でありながら、医療へのアクセス不良や衛生環境の悪化、貧困の影響により、依然として多くの人々がその脅威にさらされています。世界保健機関(WHO)は、「NTDsロードマップ(2021-2030)」という指針を発表し、2030年までにNTDsの疾病負担を75%軽減することを目標に掲げています。
G7首脳会議での呼びかけ
2025年のG7首脳会議では、NTDsについてはあまり注目が集まらなかったものの、NTDs Youthの会は、各国首脳に対して具体的な行動を提案しました。これには、以下の内容が含まれています:
- - NTDsの研究と開発を促進し、民間セクターからの投資を奨励すること。
- - アフリカ連合やアフリカCDCと協力し、アフリカの健康安全保障を強化すること。
- - グローバルな公衆衛生に関する多国間投資にNTDs対策を統合すること。
- - WHOに対し、柔軟で安定した資金を提供すること。
新たなコミットメントの必要性
実際、これらの提案はNTDsを制圧するために不可欠な取り組みであり、経済的にも大きなリターンを得ることが期待されています。WHOによると、NTDsへの1ドルの投資は、その後の疾病負担の軽減や医療費削減を通じて、最大で405ドルの経済的価値を生み出すと言われています。
しかし、COVID-19のパンデミック後、各国からの資金が削減され、治療薬の供給も脅かされています。このままでは約1億4700万人が予定された集団投薬プログラムを受けられない恐れがあるため、NTDsに対する国際的な支援を継続する必要があります。
私たちの活動
NTDs Youthの会は、NTDsの課題を広めるための活動や政策提案に力を入れています。2024年には、ヨーロッパやカナダのユース団体と連携して、ドイツ熱帯医学会や日本熱帯医学会において、若者たちがどのようにNTDsに取り組んでいるかを発表しました。このような国際的なネットワークを通じて、より多くの人々がこの問題に関心を寄せ、具体的なアクションを起こすきっかけとなることを目指しています。
今後も私たちは、顧みられない熱帯病の制圧に向けての取り組みを続けていきます。このためには、国際的な連携が不可欠です。私たちの声が、G7首脳をはじめとする各国リーダーに届くよう、引き続き運動を展開していきたいと思います。