ITフリーランスエンジニアの平均月額単価ランキング2024年版
パーソルキャリア株式会社が運営する「HiPro Tech」は、2024年のITフリーランスエンジニアの平均月額単価ランキングを新たに発表しました。このデータは、2024年に受領された案件の月額単価を基に算出されたものです。
職種編:企業経営を支えるIT戦略職の需要高まる
ランキングによると、最も高い単価を得たのは「DXコンサルタント」で、その単価は120万円。次いで「ITコンサルタント」(118.2万円)や「プロダクトオーナー/プロダクトマネジャー」(110.4万円)が続きました。「DXコンサルタント」の根強い需要は、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の重要性が増しているからです。リモートワークやオンライン会議の普及により、非IT企業でもデジタル変革が必要とされています。
企業がIT戦略を立て、業務を効率化するためには、ITスキルを持つ人材の存在が不可欠です。特に、上流工程の役割に必要なスキルは希少であり、そのニーズは高まっています。
「機械学習/AIエンジニア」(104.6万円)や「データサイエンティスト」(95.8万円)も高単価である理由は、企業がAI技術を活用したプロダクト開発や、ビッグデータ解析を進めていることに起因しています。これらの職種は今後も需要が高く、高度なスキルを持つ人材が求められています。
業種編:非IT企業の単価が上昇
業種別で見ると、最も高い単価を得たのは「コンサルティング、他」で104.1万円。これは、既存のITシステムの老朽化や複雑化が進む中、多くの企業がDX推進へ危機感を持っているためです。「金融」業界も前年より単価が15.7万円増加し、102.1万円に達しました。この背景には、レガシーシステムのリプレイスやコンプライアンスを確保できる人材が難しいための単価上昇があると考えられます。
さらに、「医薬品、他」(3位、97.1万円)や「メーカー(素材・化学・食品・化粧品・その他)」(4位、95.1万円)も単価が上昇しており、IT戦略の実行や人材の確保が企業成長に欠かせないとされています。特に、業務システムのリプレイスプロジェクトにおいては、システムの標準機能そのもので業務を変革する「Fit to Standard」が注目されています。
開発言語編:生成AI関連の言語が高単価を維持
開発言語のランキングでは、「Typescript」が98.5万円で1位を獲得。その他、AIや機械学習、データ分析に広く使われる「Python」(98.3万円)も高単価を維持しています。これらの言語は、コードの記述がシンプルであり、保守性にも優れています。そのため新サービス開発や既存の言語との置き換えが進んでいます。
解説:自社のIT戦略を描ける人材の需要が拡大
2024年の調査からは、自社の業務改善、効率化のみならず、プロダクトの強化にも生成AIが活用され、他社との差別化が図られています。「2025年の崖」問題に対し、企業は既存システムの刷新に急いでおり、そのために自社に適したIT戦略を実行できる人材のニーズがさらに高まるでしょう。今後のIT業界では、自社の成長戦略を実現するために重要な役割を果たす存在となります。
【解説者プロフィール】
「HiPro」編集長 鏑木 陽二朗(かぶらぎ ようじろう)
2001年にパーソルキャリアに入社し、これまで採用支援やキャリア支援に従事。現在はプロフェッショナル人材の活用支援ブランド「HiPro」の編集長として業界を先導しています。
【データ算出方法】
2024年の案件データを基に算出。
【データ利用について】
引用・転載の際は出所を明記してください。