ELEMENTSがポラリファイを子会社化
株式会社ELEMENTS(東京・中央区)は2025年1月14日に、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)の連結子会社である株式会社ポラリファイを取得することが決定されました。この経営統合は何を意味するのか、そしてどのような影響を与えるのでしょうか。
リーディングカンパニーの合併
ELEMENTSとポラリファイは、オンライン本人確認サービスのリーディングカンパニーとして、両社の強みを集結させることで、累計契約数を約550社、本人確認件数を約1.2億件に拡大することを目指します。特に、各種不正行為への対応として、マイナンバーカードや運転免許証のICチップ活用を促進し、顧客基盤の拡充を図ります。
背景と市場のニーズ
昨今、デジタル化の進展に伴い、オンラインサービスの利用が身近になっていますが、その一方でオンライン上の不正やなりすましが増加しています。このため、本人確認の重要性は増しています。2018年の法改正以降、eKYC(electronic Know Your Customer)と呼ばれるオンライン本人確認システムが普及しました。
ELEMENTSとLiquidの取組み
ELEMENTSの完全子会社であるLiquidは、2019年から提供している「LIQUID eKYC」サービスで、運転免許証やマイナンバーカードを用いた本人確認を行っています。この度の企業統合によって、Liquidはポラリファイの技術と経験を活用し、より多様なソリューションを提供することで、SNS型投資詐欺やマネーロンダリングといった金融犯罪への対策を強化することが可能になります。
不正対策の強化
Liquidとポラリファイでは、ICチップを活用した本人確認の推進に加え、システムが導入する不正対策ソリューションも展開します。特に、「JPKI+(容貌)」機能を用いて顔認証によるアカウント紐づけを行うことで、フィッシング被害や不正利用を防ぎます。
生成AI技術とその可能性
さらに、ELEMENTSは生成AIを活用して不正行為の検知技術にも力を入れています。「SugeKae」と呼ばれる画像生成AIツールを開発し、ECサイトなどで利用されています。このような技術を生かし、ディープフェイク等の新たな脅威にも対応する機能を提供することで、顧客に安心をもたらします。
提供される総合的なソリューション
今後、ELEMENTSとLiquid、ポラリファイは共同で個人認証事業の強化に取り組み、より付加価値の高いソリューションを提供します。特に、ICチップや顔認証技術を組み合わせた継続的な顧客管理と、業界全体を網羅した不正検知システムの構築を目指しています。これによって、犯罪収益移転防止法や携帯電話不正利用防止法に基づくさまざまな業界での対応能力を向上させることが期待されます。
まとめ
今回の合併は、デジタル化が進む現代社会におけるオンライン本人確認の重要性を再認識するきっかけとなります。ELEMENTSとポラリファイの連携により、サイバー犯罪対策が強化され、利用者にとってより安全なオンライン環境が実現されることが期待されています。今後も両社の動向に注目が集まりそうです。