大日本印刷の新しい無菌充填システムの登場
大日本印刷(DNP)グループの株式会社アセプティック・システム(APS)が、PETボトル用の新たな無菌充填システムを開発しました。このシステムは、飲料を無菌環境で充填する高度な技術を基にしており、CO2排出量を約40%も削減できるという特徴があります。
環境配慮のための革新
新しいシステムの核心は、DNP独自の環境技術「GREEN ASEPTIC®」です。これにより、飲料の超高温滅菌(UHT)の一部を非加熱の「ろ過滅菌フィルター」と「UVランプ」に置き換え、エネルギー消費量を約80%も抑えることに成功しました。また、プリフォームとボトルの段階での二段階殺菌を行うことで、薬剤使用量も大幅に減少します。
このように、環境に優しい技術と一貫したプロセスをもたらすその取り組みは、飲料メーカーの脱炭素化に貢献するために設計されています。
背景と開発の経緯
近年の清涼飲料水市場の拡大に伴い、PETボトルの需要は急増しています。それに伴って、製造業界でも環境配慮への対応が求められています。この流れの中、APSは水分占有率に着目し、新たな非加熱滅菌システムを開発しました。従来の加熱滅菌方法では、140℃という高温での処理が必要だったため、膨大なエネルギーを消費していました。このため、APSはUVランプとろ過滅菌フィルターの組み合わせで、同等の品質を保ちながらエネルギーを節約する道を選びました。
システムの特徴
1. 省エネルギーの非加熱滅菌
新たな無菌充填システムは、シロップを水で希釈する過程や洗浄時の水に至るまで、極めて少ないエネルギーで処理可能です。これにより、液処理が無駄なく行えるようになり、エネルギー使用量を大幅に削減しました。
2. 二段階殺菌システム
新システムでは、プリフォームとボトル形状の二段階で殺菌を実施します。このアプローチにより、薬剤の使用量が約40%も減少し、設置面積も約30%小さくすることができます。これにより、飲料メーカーは限られたスペースを効率よく利用できるようになりました。
3. 経済産業省の省エネ補助金対象
「先進設備・システム」として、今回開発した2つの新技術は省エネルギー性能が高いと認められ、補助金の対象として登録されました。これにより、導入を検討する企業にとってもひとつの決め手となることでしょう。
今後の展望
APSは、この無菌充填システムを国内外の飲料メーカーへ普及させ、安全で環境に優しい清涼飲料水の製造を推進します。目標としては、2030年度までに関連商材の売上を200億円と設定しています。これにより飲料業界全体の持続可能性を高め、より良い未来を創造するために貢献していくでしょう。
新しい技術の導入によって、飲料メーカーはより多くの課題を解決しながら、事業の継続可能性を高めていくことが期待されます。