地方創生の鍵となる『ニホン継業バンク』
日本各地で進む地域産業の後継者問題。この課題に取り組むために設立されたのが『ニホン継業バンク』です。運営を行うのは岡山県のココホレジャパン株式会社で、同社は地域資源を活用した事業承継支援に特化しています。2020年のサービス開始以来、46市町村でのサポートを実施し、継業成立率は38.2%という高水準を記録しています。これは全国的なM&A市場と比較しても非常に優れた数字です。
『ニホン継業バンク』の特徴
手数料無料の公共サービス型
『ニホン継業バンク』は、自治体と連携して運営されるため、利用者は手数料を一切負担しない仕組みです。これにより、特に小規模事業に対しても継業の機会が提供されています。一般的なM&Aサービスでは、高額な買収額が優先されてしまうことが多いですが、地域の特性を生かし、技術やノウハウの継承といった多様な選択肢が用意されています。
地域のニーズに合わせた伴走支援
また、基礎自治体ごとに固有の課題に応じた支援を行っており、地元の事業者のニーズに寄り添った対応を実現しています。特に、地域おこし協力隊制度を活用した人材導入が効果を上げている事例も多く、過疎地における継業の成功につながっています。
スムーズな情報連携が可能
自治体職員とのコミュニケーションを円滑にするため、特許出願中のクローズチャット機能を導入しています。これにより、担当者が直接情報を共有し、迅速な対応が可能になります。ココホレジャパンが問い合わせの一次対応を行い、自治体との情報連携は一元管理されるため、スムーズな支援が可能となります。
高成果を上げている自治体の事例
特に継業が成功している自治体として、以下の5つの事例が挙げられます。
1.
美作市(岡山県) - 継業成立率100%を達成
2.
京丹後市(京都府) - 80%の高水準
3.
東松島市(宮城県) - 60%の成功率
4.
郡上市(岐阜県) - 58%の継業率
5.
北秋田市(秋田県) - 55%を達成
これらの自治体では、地域おこし協力隊制度を用いた人材の誘致や、地元金融機関との連携が効果を上げています。特に美作市では、部門を横断したサポートが行われ、創業支援や移住支援を効果的に実施しています。郡上市では、2014年に事業承継支援センターを設け、地域支援員による丁寧なサポートを展開し、地元事業の持続性を高めています。
法整備と国の支援
2025年度からは、総務省による特別交付税措置が導入され、地方自治体の事業承継支援をさらに後押しすることが期待されています。この制度は、実質的に地域経済を支える小規模事業者の生き残りを助け、地方創生のための重要な効果をもたらすでしょう。
『ニホン継業バンク』は、地域経済の持続可能な発展に寄与するための新たなモデルとして、今後も注目が集まります。地域住民と行政が一体となって進めるこの取り組みが、多くの地域の未来を支えていくことを期待しています。