合理的配慮義務化から10年、障がい者の職場の実態
合理的配慮の義務化から10年が経過した2026年、レバレジーズ株式会社が運営する障がい者就労支援サービス「ワークリア」が実施した調査結果をご紹介します。この調査では、現在働く障がい者196名を対象に、職場での合理的配慮に関する実態が探られました。
調査結果の概要
調査によると、障がい者の約74%が職場での変化を感じていないと回答し、その理由には身体障がい・精神障がい間での認識の差が浮き彫りになっています。また、約25%が合理的配慮を求めることを「躊躇した」り「断念した」経験もあります。これは上司の理解度や過去の経験が影響している可能性が高いです。
1. 職場での変化を感じない割合
現在勤務している障がい者の43.9%は、自身が受けている合理的配慮に対して「満足している」と答えましたが、約1割は「提供されている実感がない」とも回答。さらに、70%以上が職場の変化を感じていないことがわかりました。障がいの種類による差もあり、身体障がい者の35.3%が変化を感じている一方、精神障がい者は22.7%と低い結果となりました。
2. 配慮の相談に対する躊躇
障がい者の約4人に1人が求める配慮を具体的に伝えることに躊躇を持ち、特に精神障がい者は29%が伝えにくいと感じています。理由として、上司や同僚が忙しそうで申し訳ないと思ったり、これまでの経験から改善されなかったりすることが挙げられています。これに対し、約8割が「いつでも伝えられる」と答えたものの、心の障壁が影響していることが浮き彫りになりました。
3. 適切な配慮の影響
一方で、適切な合理的配慮を受けた障がい者のうち8割以上が「安定就労や仕事のパフォーマンス向上」を実感しています。特に「精神的に安定し、意欲的に業務に取り組めるようになった」「体調が安定し、欠勤や遅刻が減った」との声が多く、業務の質や生産性の向上も見られました。この結果は、企業としても投資の価値があることを意味しています。
企業に求められる今後の配慮
実際的な配慮として「通院・休暇の柔軟性」が最も多く、続いて「業務内容・量の調整」「通勤への配慮」が挙げられています。また、今後さらに求められることには、既存の配慮のさらなる充実だけでなく「周囲の理解促進」があります。これにより、障がい者が働きやすい環境へと歩みを進めることができます。
専門家からの意見
ワークリア事業部責任者の津留有希子氏は、「企業が求める配慮は物理的な整備だけでなく、理解促進が求められている」と強調します。また、精神・発達障がいの特性に応じた適切なマネジメントが実践できる体制の重要性を述べています。
さて、この調査結果を受けて私たちが考えるべきことは何でしょうか。合理的配慮が義務化されたにも関わらず、実感を得られない障がい者が多い現実をどう改善していくかが、今後の大きな課題です。企業の方々には、今まで以上に現場の声に耳を傾け、能動的に環境を整える努力が求められます。仕組みを整えるだけでなく、実際に働く人々の声を聞く場を増やすことで、より良い職場環境を作り出すことができるでしょう。
仕事の質やパフォーマンスを向上させるためには、障がい者が安心して声を上げられる環境の整備が必須です。これが、持続可能な企業成長の鍵となるでしょう。
まとめ
今回の調査は、障がい者雇用の深化に向けた一歩といえます。より多くの企業がこの実態に注目し、さらなる改善に動き出すことが期待されます。合理的配慮はただの制度ではなく、企業の成長につながる重要な役割を果たすのです。今後も持続可能な働きやすい環境づくりに注力し、障がい者がその人らしく働ける社会を実現していく必要があるでしょう。