2024年年末年始の旅行動向：消費意識と目的地の多様化

2024年年末年始旅行動向

2024年の年末年始（12月23日～1月3日）の旅行動向について、JTBが発表した調査結果をもとに、その傾向や考察をお届けします。本レポートは1969年から毎年発表されており、長い歴史を持っています。今年は55回目の調査です。

旅行の全体像

調査によると、今年の年末年始に1泊以上の旅行に出かける人の総人数は約2,852万人、旅行にかける総消費額はおよそ1兆3,460億円になる見込みです。特に、国内旅行に出かける人は約2,800万人、海外旅行は52万人に達しています。これは前年に比べてそれぞれほぼ横ばいといった状況であり、特に海外旅行は過去の水準に対して113%の伸びを示しています。

国内旅行の動向

国内旅行では、旅行人数は前年と変わらず平均費用は43,000円となっています。高騰する宿泊費や交通費が影響し、全体的な旅行費用は過去最高水準に達しています。旅行目的は「家族と過ごす」が最も多く、リラックスや非日常を求める傾向が強まっています。一方で、帰省を目的とする旅行者は前年よりも減少しました。

旅行行動の変化

今年は、旅行日数の分散や避けられる混雑の中、家族との時間を重視する動きが目立ちます。具体的には、旅行時期を分散させる傾向にあり、年末年始のピークを避ける旅行者が増加しています。また、複数の交通手段を利用する人も増えてきており、遠方への旅行が注目されています。

海外旅行の状況

一方、海外旅行の人数は好調で、韓国をはじめとする近隣国やハワイ、欧米への旅行が人気です。しかし、海外旅行の費用は273,000円と高いため、短期旅行が増加しています。日々の物価高や為替影響が旅行計画に影響しており、訪れたい国や地域についての二極化が進んでいる印象です。

海外旅行の意欲

調査対象者のうち、海外旅行を計画している人の割合は8.4%で、前年よりもやや増加。特に、今後の旅行意向で「すぐに行きたい」国としてハワイやヨーロッパが上位を占めています。

経済状況と旅行意識

今年の旅行動向は、家計における経済状況や個人の意識も影響を与えています。調査では、年末年始の生活にはある程度の余裕があり、収入が増えたと感じる人も少なくありません。しかし、旅行やレジャーに使う費用はあまり増えないとする人も多く、消費の意識が二分化されています。

また、アンケートによると、今後1年間の旅行支出に関して「同程度」とする人が多く、旅行業界全体が安定しているかどうかの指標とも言えそうです。