アレルギーワクチンの新たな進展
株式会社ファンペップが開発しているアレルギーワクチン(抗体誘導ペプチドFPP004X)の第Ⅰ相臨床試験が進展しました。8月7日に開催された安全性評価会議では、健康な成人を対象とした高用量コホートの合計2回の投与において安全性や忍容性に問題がないと確認され、これにより季節性アレルギー性鼻炎、通称花粉症の患者を対象としたスギ花粉曝露室を活用したさらなる試験へと移行することが決定しました。
臨床試験の概要
本試験は、健康成人と季節性アレルギー性鼻炎を持つ患者の2つのパートで構成されています。パート1では、低用量と高用量のコホートでの投与が計画されており、投与間隔は4週間です。パート2では、人工的に飛散させたスギ花粉に対する反応を評価するため、専用の曝露室を使用します。
花粉症とは、スギやヒノキなどの植物から放出される花粉に対する過剰なアレルギー反応に起因する疾患です。一般的な症状には、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどがあります。日本における2019年の全国調査によれば、花粉症の有病率は42.5%に達し、その中でもスギ花粉症は38.8%と非常に高い数値を示しています。この数値は過去10年で10%以上の上昇を見せており、花粉症は国民病とも呼ばれる存在です。現在、花粉症に対する医薬品市場は約1,700億円に達しており、政府も花粉症を社会問題と捉え、対策に取り組んでいます。
FPP004Xの期待される治療効果
FPP004Xは、体内でIgE(Immunoglobulin E)抗体の産生を促進することでアレルギー症状を和らげることが期待されるワクチンです。IgEは異物を排除する役割を持つ抗体の一種であり、アレルゲンに結合するとアレルギー反応を引き起こします。このワクチンの特徴は、免疫細胞によって抗IgE抗体を持続的に生成することにより、アレルギー症状の緩和が期待できる点にあります。
ファンペップは、花粉症を第一の適応症とし、症状が現れる前にワクチンを投与することで、シーズンを通しての効果を提供することを目指しています。
さらなる展望
2024年3月には塩野義製薬株式会社とのオプション契約が結ばれる予定で、同社はこの新しい治療法に関する全世界的な研究開発と商業化権を握ることとなります。これにより、FPP004Xの開発が加速し、多くの花粉症患者に新たな治療の選択肢が提供されることが期待されます。
花粉症の悩みを抱える人々にとって、FPP004Xが新しい希望となることを期待したいです。