淺沼組が生み出した革新的な「立体木摺土壁」とは
株式会社淺沼組は、伝統的な建材「土」を活用した新たな構法「立体木摺土壁」を開発しました。この技術は、2025年グッドデザイン賞を受賞した「芋松豊洲千客万来店」に取り入れられ、注目を集めています。今回はその背景と特徴、受賞店舗の魅力についてご紹介します。
立体木摺土壁の開発背景
淺沼組は、創業以来130年以上の歴史を持つ総合建設会社で、その中で環境に配慮した循環型のマテリアルや技術の開発に注力しています。「立体木摺土壁」は、自然由来の素材を活用し、持続可能な建築を実現するために誕生しました。2021年には、名古屋支店をリニューアルした際に、そこに訪れた設計者木野内剛氏のアイデアをもとに、この新しい技術に結実しました。
この壁は、建設発生土、藁スサ、おがくずといった自然素材を用い、土と木を積層した構造を持っています。日干し煉瓦の技術を応用しており、安定性と軽量性を兼ね備えた壁を、短時間で施工することが可能です。また、自然素材のみを使用しているため、低炭素性や炭素貯留性、資源循環性に優れており、良好な空気環境を提供します。
「芋松豊洲千客万来店」の魅力
豊洲市場の青果仲卸業者「芋松」が新たに展開した「芋松豊洲千客万来店」は、2024年にオープン予定の飲食・物販店舗です。木野内剛氏の設計に基づき、店舗は土を主材として利用し、地域の食文化を体験できる空間を創出します。
店舗の壁には、実際の「畑の土」が使用され、これによって消費者に強い印象を与えるだけでなく、土の香りが漂う特有の空間感を持っています。業界デザイナーたちからも高く評価されており、実店舗の壁材としての工夫は、他では体験できない魅力を持っています。
グッドデザイン賞受賞の理由
2025年グッドデザイン賞の審査員からは、「実店舗の壁を『畑の土』とする試みは、消費者に心に残る印象を与える」との高評価を受けました。壁材の特質や、その維持に必要な手間は、店舗としての新鮮さを提供し、自然の豊かさを感じる一因となっています。こうした姿勢こそが、消費者の心に響くメッセージを伝えるものであるとされています。
グッドデザイン賞受賞展
「GOOD DESIGN EXHIBITION 2025」では、受賞作品が展示されます。展示は、2025年11月1日から5日まで、東京ミッドタウンにて開催され、入場は無料で、事前予約も不要です。展示を通じて、建築やデザインの新たな可能性を感じることができるチャンスです。
まとめ
淺沼組が展開する「立体木摺土壁」は、建築の未来に向けた革新的なアプローチを示しています。持続可能な材料の使用と地域文化との融合がもたらす新たな価値は、これからの建設業に多くの示唆を与えてくれるでしょう。今後の展開が楽しみです。