放射冷却素材「SPACECOOL」を活用した実証実験が始まる
東京都新宿区に本拠を置く東京都交通局は、スタートアップ企業のSPACECOOL株式会社(港区)と連携し、放射冷却素材「SPACECOOLⓇ」を使用した実証実験を実施しています。この実験は、東京都のスタートアップ支援事業「スタートアップによる事業提案制度」を活用して行われるもので、特に都営バスに焦点を当てています。
実施内容
実証実験では、放射冷却素材「SPACECOOLⓇ」を都営バス車両およびバス停留所に適用し、その効果を検証します。
1.
都営バス車両(2両)
バスの天面部分にこの素材を貼り付け、車内温度の抑制と空調エネルギー消費の削減を目指した実験が行われます。
2.
バス停留所(1か所、深川自動車営業所内)
バス停留所の上屋の天井および側面に素材を貼り付け、お客様が待っている際の暑熱環境の改善を検証します。
この実験の開始日は令和6年の10月10日です。また、「SPACECOOLⓇ」は、直射日光のもとで太陽光や大気からの熱をブロックし、宇宙へ熱を放出することによって外気温よりも低い温度を実現する新しい素材です。
「SPACECOOLⓇ」の特長
この放射冷却素材は、独自の光学制御技術により、太陽光の熱の吸収を抑え、熱ふく射(熱放出)の能力を高める設計が施されています。これにより、ゼロエネルギーでの温度低下が可能となります。商標として登録されている「SPACECOOLⓇ」は今後、さまざまなシーンでの利用が期待されています。
環境問題への貢献
近年、地球温暖化やヒートアイランド現象が問題視される中、公共交通機関の熱環境改善は重要な課題です。この実証実験が成功すれば、東京都内の交通機関におけるエネルギー消費の削減や、利用者への快適な環境提供に繋がると考えられています。
実験結果が期待される成果をもたらすことによって、他地域への展開も視野に入れることが可能となるでしょう。
今後、この放射冷却素材が広く利用され、快適な公共交通の実現に寄与することを期待しています。