再利用可能な誘導マットが大阪・関西万博のバリアフリーを進化させる

2025年、大阪・関西万博が開催される中、バリアフリーの取り組みが重要な焦点となっています。視覚障害者や車椅子利用者を支えるために、新たに導入された再利用可能なゴム製の誘導マット『歩導くんガイドウェイ』とトイレ誘導ライン『ガイドレット』が、万博会場内のアクセシビリティ向上に貢献しています。

視覚障害者を支える誘導マットの特徴

錦城護謨株式会社（大阪府八尾市）のこれらの製品は、特に視覚障害者の歩行をサポートするように設計されています。ゴム製のこのマットは、白杖で叩いた際の音や足裏の感触で目的地まで案内することが可能で、なめらかな表面と傾斜により、車椅子やベビーカー利用者にとっても移動がしやすくなっています。2025年7月現在、万博会場の東ゲートや西ゲート、アクセシビリティセンターやトイレ施設など、計25箇所に設置され、様々な来場者に配慮した環境を整えています。

地域に根付く取り組み

錦城護謨は2007年にバリアフリー推進課を設立し、視覚障害者の移動支援に取り組んできました。『歩導くんガイドウェイ』や『ガイドレット』、そして『ココテープ』などの製品は、ただの機能を超えて社会全体で合理的配慮を実現するための重要なツールとされています。万博の後、これらのマットは地域の学校や福祉施設に再配分される予定で、バリアフリーの理念が地域に引き継がれていくことが期待されます。

バリアフリー化の必要性

最近の法改正により、民間事業者も合理的配慮を提供する義務が課されるようになりました。バリアフリー化は特別な配慮としてではなく、全ての人々に快適な移動環境を提供するための社会的責務であり、錦城護謨の取り組みはその実現に向けての第一歩と言えます。

累計1200か所の導入実績

『歩導くんガイドウェイ』はすでに公共施設や病院、オフィスビルなどに1200以上導入されており、独自の設置方法は様々な床材に対応可能です。両面テープを使用する軽量設計により、既存施設への取り付けが容易で、利用者からも高い評価を得ています。

トイレ内の課題を解決する『ガイドレット』

約88%の視覚障害者がトイレのレイアウトに苦労しているという実態を受けて開発された『ガイドレット』。このスティック型マットは、トイレの導線を確保し、視覚障害者が安心して移動できるよう配慮されています。これらの製品は、視覚障害者支援のためのユニバーサルデザインの専門家と共同で開発され、多くの場所での導入が進められています。

企業の視点

錦城護謨は、創業89年を迎え、国内のゴム部品製造でも高いシェアを持つ企業です。盤石な技術力を背景に、福祉関連事業への取り組みや新製品の開発を通じて、国内外での事業拡大を図っています。『歩導くんガイドウェイ』はその中核をなす製品であり、地域と共に未来のバリアフリー社会を築いていく役割を果たすでしょう。