避難訓練の実態調査が示した、地域とのギャップとその改善提案
近年、日本各地で頻発する自然災害。保育園や学校では、みなさんもおそらく、定期的に避難訓練が行われているのを目にしているでしょう。しかし、これらの訓練は本当に地域で起こり得る災害に対して十分だと言えるのでしょうか。NPO法人減災教育普及協会が、日本大学危機管理学部の秦教授と共同で行った大規模調査が、この問いに新たな光を当てています。
調査の概要
調査は、東京や神奈川、静岡、さらに徳島や愛媛などの12都府県の教育・保育関係者2,577名を対象に、最近実施されました。調査の結果、驚くべきことに、85%の人々が地域における想定災害を「知らなかった」または「想像と異なっていた」と回答しました。さらに、69%の respondentsは現在の備えや訓練が「想定に足りていない」または「分からない」と答えています。
想定と訓練のズレ
これらの結果は、単に避難訓練が行われていないという問題だけではありません。特に保育園や認定こども園では、毎月避難訓練が実施されていますが、その内容が地域で予想される災害の特性と結びついていない可能性があることを示唆しています。
実際、地域における地震や津波、土砂災害などの想定災害は定められていますが、訓練ではその確認がなされず、決まった手順をこなすことに重きが置かれてしまっています。教育者たちは、ただ指示に従うだけの訓練を受けているのではなく、災害が実際に起こった際にどのように行動するべきなのかを学ぶ機会を必要としています。
再構成の提案
今回の研究は、地域防災計画や被害想定を基に、子どもや教職員が実状を把握し自ら行動できる訓練に再構成すべきだという提案を行っています。具体的には、ただ手順を覚えるのではなく、想定される災害に応じてどう行動するかを考える力を育成することが求められています。これにより、実際の災害時に自ら判断し行動できる能力を養うことができます。
現場の変化
最近、実証地域では避難訓練の内容が変わりつつあります。地域の被害想定を踏まえた判断力を養成するための訓練にシフトしているのです。この動きは、智恵を借り合いながら地域が協力して行う「こどもユレタキャラバン」などの活動を通じて具体化されています。
今後の展望
最後に、この調査から導き出された成果をもとに、避難訓練の設計を子どもたちの実際の判断力を育てる方向へと進化させる必要性が高まっています。NPO法人減災教育普及協会は、今後自治体や教育機関、企業と連携し、避難訓練の実証と標準化に向けたガイドラインを策定する計画を進めています。災害時に自ら判断し行動できる力を育てるため、広く協力を募ることが求められています。
これからの避難訓練は、指示に従うだけのものでなく、未来を見越した行動教育として再構築されることが期待されます。災害はいつどこで起こるかわからないため、その備えと教育は一層重要となります。