海難防止と救命のために無線電信の設置を義務化する新政令の施行について
無線電信の設置が義務化される新政令
令和7年4月25日に、国土交通省は「船舶安全法第三十二条ノ二の船舶の範囲を定める政令の一部を改正する政令」を閣議決定しました。この改正によって、旅客定員を持つ船舶に無線電信等の設置が義務付けられます。これにより、海上での通信手段が強化され、海難事故の予防に寄与することが期待されています。
改正の背景
無線通信は、海上を航行する船舶にとって、事故の予防や発生時の救命に向けて極めて重要な役割を果たします。平成3年には、基本的にすべての船舶に無線電信等の設置が義務化されました。しかし、当初は周波数の配分状況から、特定の小型旅客船にはその設置が猶予されるなどの措置が取られていました。
最近の衛星通信技術の進歩により、陸上との連絡方法が格段に改善され、より多くの船舶が通信を確保できるようになりました。これにより、従来猶予されていた船舶にも無線電信等の設置を進める環境が整ったのです。
また、海難事故の増加にともない、特に小型旅客船に対する通信手段の義務化が強く求められています。令和4年に発生した知床の船事故は、その著しい教訓として多くの議論を生みました。この事故を受けた検討委員会では、海上での安全対策として、小型旅客船にも無線装置を設置する必要性が示されました。
改正政令の具体的内容
今回の政令改正により、旅客を運ぶ船舶(例えば、海上タクシー等)に無線電信等を設置することが法的に求められます。この政令は、船舶安全法第4条第1項に基づいて、陸上との安定した連絡手段を維持できる設備の設置を義務としています。
今後のスケジュール
この改正政令は、令和7年5月1日付で公布され、6月1日から施行される予定です。これにより、海上で運航される旅客船の安全性が大きく向上し、乗客を含む多くの人々の命を守るための基盤が築かれることでしょう。
国土交通省は、さらなる安全強化を目指して、このような施策を推進し続けていく方針です。法律改正に伴う措置は多角的に評価され、海運業界全体の安全性向上につながることを期待しています。
今後も、国土交通省からの最新情報に注目し、規則の遵守とともに海上の安全確保に努めていくことが求められます。