塩野義製薬とピクシーダストテクノロジーズ、共同で発明奨励賞を受賞
2023年5月、塩野義製薬株式会社とピクシーダストテクノロジーズ株式会社は、音刺激によって脳内のガンマ波を誘発する技術に関する共同発明が、「令和7年度 関東地方発明表彰」で発明奨励賞を受賞した。この受賞は、オープンイノベーションを通じた知的財産の創出とその社会実装が評価された結果であり、両社の革新に向けた取り組みを象徴している。
受賞技術の概要
今回受賞した発明は、「ガンマ波を誘発する変調音出力装置」であり、特許第7307929号に登録されている。この技術は、日常的な音を使用して、脳内のガンマ波を誘発することを目的としている。具体的には、テレビなどから生成される自然な音をもとに、特定の周波数(40Hz)の変調音を作り出し、聴取者がストレスなく音刺激を受け続けることを可能にしている。
ガンマ波は、脳の情報処理能力に関与するとされており、これを活用した技術は、医療や認知症対策などの分野での利用が期待されている。受賞者たちは、音声の明瞭性を損なうことなく、ガンマ波を誘発できるというこれまでにないアプローチを成功させた。
表彰式と受賞者について
表彰式は2023年11月20日に行われ、水戸市民会館において表彰された。受賞者は以下の通りである。
- - 長谷芳樹(ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 シニアリサーチャー)
- - 高澤和希(ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 kikippa事業部 開発統括)
- - 小川公一(塩野義製薬株式会社 創薬疾患研究所)
- - 前田佳主馬(塩野義製薬株式会社 創薬疾患研究所)
その後も両社の研究者たちは、技術の社会実装に向け、さらなる研究を進めている。
オープンイノベーションによる成果
この受賞は、2社の間におけるオープンイノベーションの実績を具現化したものである。塩野義製薬とピクシーダストは2020年からの共同研究開発を経て、研究成果を知財として可視化し、実際に製品化するまでの過程を一貫して推進してきた。注目すべきは、研究を進める中で生まれた知的財産が、企業の境を越えた協力の成果とされ、これが今後のビジネスモデルにも影響を与える可能性があることである。
PxDTの知財戦略と社会的評価
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社は、「協創に資する知財」を基本方針に掲げ、産学連携を進めながら社会への実装を目指している。同社はこれまでにも、さまざまな知財賞を受賞しており、特に研究開発型のスタートアップとしての提案力と知的財産の戦略的活用が高く評価されている。最近では、2022年の知財功労賞を受賞しており、今後もその活動に対する注目が集まるだろう。
まとめ
塩野義製薬とピクシーダストテクノロジーズの共同受賞は、オープンイノベーションが生む新たな価値の象徴である。本技術は、日常生活におけるガンマ波の利用が期待されるだけでなく、今後の技術革新において他社との連携や社会実装がどのように発展していくのか、多くの関心を集めている。今後の動向に注目したい。