長崎市での新たなMaaS推進、キャッシュレスな公共交通を実現へ

長崎市でのMaaS推進事業、2025年秋より実証実験開始

長崎市と長崎電気軌道、三井住友カードなどが連携し、2025年秋頃から「stera transit」長崎MaaS推進事業の実証実験を実施します。この取り組みは、公共交通機関のさらなる利便性向上を目指したもので、特に高齢化が進む地域での交通課題解決に寄与することが期待されています。

背景と目的

長崎市では高齢化が進む中、公共交通の維持が大きな課題となっています。特に、斜面が多い地形では高齢者の外出機会が減少し、交通空白地へのタクシー導入が求められています。さらに、観光客の増加によって、公共交通機関の利用が集中し、負担が増加しています。このような中で、2025年4月に設立された「stera transit長崎MaaS協議会」を通じて、データ活用やキャッシュレス化によってサービスの向上を目指します。

実証実験の内容

この実証実験では、長崎電気軌道の路面電車全線および市内の乗合タクシーが対象となります。具体的な内容は以下の通りです。

1. タッチ決済の導入
三井住友カードが提供する「stera transit」のタッチ決済を利用して、クレジットカードなどで乗車可能にします。利用できるブランドにはVisa、MasterCard、JCBなどが含まれます。

2. 様々な割引サービスの検討
- オフピーク割引: 通勤時間帯を除く時間にタッチ決済での乗車を利用すると割引が受けられます。
- 免許返納割引: 免許を返納した高齢者向けに、タッチ決済での乗車時に割引が適用されるサービスを提供します。
- 乗合タクシー回数割引: 同一のカードで乗車した場合、偶数回目の乗車に割引が適用されます。

3. 総合交通アプリ「Pass Case」の活用
三井住友カードの「Pass Case」アプリを通じて、路面電車と観光施設を組み合わせた割引企画券の販売を行います。このアプリを使えば、登録したクレジットカードをかざすだけで乗車や施設入場ができます。

4. 移動および消費データの分析
実証実験を通じて集まるデータを分析し、地域住民の公共交通利用の実態を把握します。これにより、サービスの質を向上させ、観光客が増えた際の対策も検討します。

期待される効果

このMaaS推進プロジェクトは、長崎市の公共交通状況を改善し、利用者にとって利便性の高い移動手段を提供することが期待されています。キャッシュレスでの乗車が可能となることで、手間を軽減し、交通手段の利用が促進されるでしょう。また、データ分析によって公共交通のサービス向上や個別のニーズ対応を行うことも可能になります。