東名阪交通系ICカード デジタルラリーの実施結果
JR系グループの4社、株式会社ジェイアール東日本企画、株式会社JR東海エージェンシー、株式会社JR西日本コミュニケーションズ、株式会社JR西日本イノベーションズが共同で実施した「東名阪交通系ICカード・デジタルラリー」の結果についてご報告します。この施策は2025年2月1日から3月15日まで、鉄道ファンを対象に交通系ICカードを活用したデジタルラリーとして展開されました。
施策の概要と目的
このデジタルラリーは、鉄道関連のIP(知的財産)を活用し、Web3技術とデジタルコンテンツを組み合わせることで、参加者に新たな体験を提供することを目指して設計されています。参加者は、指定された交通系ICカードをタッチして行き先を巡り、鉄道車両をモチーフにした限定のNFTを獲得する形式です。
実施結果の主なポイント
1. NFTの導入と参加者の反応
約1,000個のNFTが発行され、参加者の満足度は84.6%を記録しました。この結果から、日常的なICカードのタッチ行為がNFTやWeb3技術への興味を喚起する重要な要素であることが明らかになりました。特に、日常的な行動を通じて、参加者がNFTに触れるきっかけが生まれたことが評価されています。
2. 鉄道IPとラリー形式の効果
鉄道という身近なテーマとスタンプラリー形式の組み合わせは、NFTが未経験の参加者にとって参加しやすい環境を提供しました。「集める」「達成する」というゲーム的要素が体験の価値を直感的に高め、参加意欲を喚起したことが示されています。
3. ウォレット開設率
Web3ウォレットの開設率は15.1%にとどまりました。このことは、初めての技術に対する心理的な抵抗や、手続きの複雑さが影響している可能性があります。今後の施策では、ウォレットの導入を簡素化することが必要とされています。
参加者の行動特性
実施期間中、3,418名の参加者があり、3,954回のICカードタッチが記録されました。これにより、日常行動が参加意欲を引き出す効果的なアプローチであることが確認されました。特に、駅構内や人の動線に沿ったスポット設置が、自然な訪問を促したと見られます。
NFTの活用の分析
本施策によって発行されたNFTは、スマートフォンゲーム「ソダテツ」で使用可能であり、多くの参加者が2か所以上を訪れるなど活発な行動が見られました。このことから、NFTと他のサービスを結びつけることで、参加者の行動を促進する効果が得られたことが示されています。
参加者の満足度と今後の展望
アンケート調査では、62.2%の参加者が「鉄道が好きだから」参加したと回答し、参加の動機を探る重要な手がかりが得られました。また、NFTやデジタル報酬に対する満足度も高かったため、今後もこのような体験設計を強化していく必要があります。
この結果をふまえ、JRグループは今後も異業種との連携や施策を継続し、NFTやブロックチェーン技術の魅力をさらに広めるために尽力していくこうです。
今回のデジタルラリーは、鉄道ファンのみならず、広く一般の人々にとっても新しいデジタル体験を提供する大きなステップとなりました。鉄道の魅力をデジタルコンテンツを通じて伝えていくことが、今後さらに重要になるでしょう。