三井物産、米国Infinium社への出資へ
三井物産株式会社が、合成燃料の製造メーカーである米国のInfinium Holdings, Inc.に出資を行ったことが発表されました。この出資は、同社が持つ次世代液体燃料の製造技術を活用し、国際的なカーボンバリューチェーンにおける役割を拡大するための一環です。Infinium社への出資は、2025年に同じく合成燃料の分野で発表したTwelve社への出資に続くものとなります。
Infinium社が運営するプラントは、テキサス州にあり、この施設ではグリーン水素と二酸化炭素を原料とした合成燃料が製造されています。合成燃料、特にe-Fuel(エレクトロフューエル)は、原料としてクリーンエネルギーを利用するため、GHG排出削減の手段として注目を集めています。具体的には、化石燃料相当のGHG削減が90%以上可能であり、既存のエンジンやインフラをそのまま活用できる「ドロップイン燃料」として重要な役割を果たすと考えられています。
Infinium社は、逆シフト反応を用いた合成燃料製造プラントを世界に先駆けて稼働させたリーディングカンパニーであり、2023年後半に稼働予定の初号製造プラントからは、通常のディーゼル燃料として使用されるe-Dieselや、低炭素プラスチックの原材料であるe-Naphthaが供給される予定です。また、航空業界向けのe-SAF(持続可能な航空燃料)の製造プラントも計画されており、国際航空グループやアメリカン航空といった大手航空会社が調達に関心を示しています。
三井物産は、直接空気回収(DAC)の技術からCO2の貯留、合成燃料の製造に至るまで、幅広いカーボンバリューチェーンへの取り組みを加速しています。合成燃料に関する投資ポートフォリオとの協業を深めることで、カーボンニュートラル燃料の製造・販売ビジネスを強化し、多様なCO2原料を基にしたエネルギー供給の価値最大化を図ります。
今後は、規模感のある脱炭素燃料事業を全球規模で展開し、カーボンマネジメント産業の発展に寄与することを目指しています。合成燃料事業は、持続可能な未来に向けた重要なステップとなり得るでしょう。Infinium社の合成燃料製造プロセスは、業界の進歩をさらに加速させる要因となることが期待されます。
Infinium社 概要
- - 会社名: Infinium Holdings, Inc.
- - 所在地: 米国カリフォルニア州サクラメント
- - 設立年: 2020年
- - 代表者: Robert Schuetzle (CEO)
- - 従業員数: 約70名
- - 事業概要: 低炭素合成燃料の製造技術及び事業開発
- - ウェブサイト: Infinium社