新たな視点を提供する書籍『アルゴリズム・AIを疑う』
2025年5月16日、集英社新書から宇田川敦史の新著『アルゴリズム・AIを疑う 誰がブラックボックスをつくるのか』が刊行されます。この本は、私たちの日常に欠かせないデジタルメディアとAIの理解に大きな助けとなることを意図しています。
現代社会では、SNSや検索エンジンなどの情報が「アルゴリズム」によって選別されており、私たち使用者はその仕組みをあまり理解していません。この本では、アルゴリズムの役割やその影響を明らかにし、今私たちがどれほどの情報を意識的に摂取しているかを問い直させる力強いメッセージが込められています。
アルゴリズムの基本的な理解
本書の目的は、ただ「使いこなす」ことではなく、その「仕組みを理解する」ことの重要性を伝えることにあります。具体例として、アマゾンや食べログのアルゴリズムが紹介されており、それらが私たちの選択にどのように影響を与え、また、どのような偏りが生じやすいのかを考察しています。特に、ブラックボックス化している内部構造を知ることで、より主体的な情報選択が可能になると著者は主張します。
ブラックボックスとは何か
書籍の中では「ブラックボックス」という概念も詳しく説明されています。アルゴリズムによって動作する数々のサービスやアプリが、どのように私たちに情報を提供しているのかを信じることがいかに危険であるか、一方向的な情報提供に対する警鐘が鳴らされています。この現象は、現在の情報選別の仕組みにとどまらず、教育や社会全体に広がる影響をも考えさせられる内容です。
アルゴリズムと情報社会
また、第3章ではアルゴリズムが社会問題にどう関与しているかを探ります。情報の偏った選別や偽情報が拡散する様子は、今や日常茶飯事となっています。この章を通して、特にマーケティング活動におけるアルゴリズムの役割が強調され、どのようにしてユーザーが商品化されてしまうのかをファクトに基づいて探求しています。
メディア・リテラシーの向上へ
著書の結論としては、メディア・リテラシーの重要性が改めて強調されます。情報を鵜呑みにせず、その背景や影響を理解する姿勢が求められています。また、メディア・インフラ・リテラシーの可能性についても語られ、単なる受動的な情報受信者から能動的な情報消費者へと成長するための視座が提供されます。
著者のプロフィール
宇田川敦史は、1977年に東京都に生まれ、京都大学で人間学を学びました。その後、日本IBMや楽天などの企業でデジタル分野での経験を義務として積んできた著者は、現在武蔵大学で准教授としてメディア論やメディア・リテラシーを教えています。過去の著書には『Google SEOのメディア論』などがあり、常にメディアの未来を見据えた研究を行っています。
おわりに
この新著を手に取ることで、私たちはより良いメディア・リテラシーを身につけ、情報過多の時代において人としての感性や思考を育んでいく手助けとなるでしょう。メディアや技術の急速な進展に戸惑うのではなく、むしろそれをいかに利用し、自らの力に変えていくのか。『アルゴリズム・AIを疑う』はまさにその道しるべとなる一冊です。