『もしドラ』待望の続編!高校野球部が挑むイノベーションとは?
2005年に発売され、社会現象を巻き起こしたベストセラー小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』。通称「もしドラ」として親しまれるこの作品は、高校野球部の女子マネージャーがドラッカーのマネジメント理論を駆使してチームを改革する物語として、多くの読者に支持されました。
そして、2024年6月26日、待望の続編『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「イノベーションと企業家精神」を読んだら』が新潮文庫より発売されました。
前作から19年、時代は大きく変化し、ますます競争が激化する現代社会。組織が生き残るためには、新たな価値を生み出し続けるイノベーションが不可欠です。今回の物語では、前作の主人公・岡野夢が、ドラッカーの「イノベーションと企業家精神」を学びながら、新設された野球部をゼロから創り、甲子園出場を目指します。
「競争をしないこと」が競争社会を生き抜くための鍵?
物語の中で、岡野夢は「イノベーションとは、競争をしないことである」というドラッカーの言葉に衝撃を受けます。従来の考え方では、競争に勝ち抜くためには、より優れた商品やサービスを提供し、ライバルを出し抜くことが重要でした。しかし、ドラッカーは、競争に焦点を当てるのではなく、顧客のニーズを満たし、新たな価値を生み出すことに集中することで、競争から解放されることを提唱しています。
「居場所」を作ることでイノベーションを実現する
では、どのようにすればイノベーションを実現できるのでしょうか?物語の中で、岡野夢は「居場所」の重要性に気づきます。個人が自分の能力を最大限に発揮し、イノベーションを生み出すためには、自分らしくいられる場所、すなわち「居場所」が必要不可欠なのです。
「居場所」とは、単に物理的な場所だけでなく、所属する組織やチーム、そして仲間との関係性を指します。岡野夢は、チームメンバー一人ひとりが自分の能力を活かせるように、それぞれに「居場所」を提供することで、チーム全体のイノベーションを促進していきます。
「もしドラ」が再び贈る、組織改革のヒント
『もしドラ』続編では、高校野球部という舞台を通して、現代社会における組織改革のヒントが描かれています。ドラッカーの「イノベーションと企業家精神」をベースに、組織のあり方、リーダーシップ、人材育成など、現代社会で重要なテーマが、わかりやすく、そして感動的に描かれています。
企業の経営者だけでなく、学生、社会人、そしてあらゆる組織に属する人々にとって、大きな学びと気づきを与えてくれる作品と言えるでしょう。
『もしドラ』続編を読んだ感想:組織改革のヒントと青春の輝き
19年ぶりの『もしドラ』続編は、前作に劣らず面白く、そして深く考えさせられる内容でした。今回は、ドラッカーの「イノベーションと企業家精神」という、より実践的なテーマを扱っているため、ビジネスマンはもちろんのこと、学生や社会人にとっても、大きな学びになるのではないかと思います。
特に印象的だったのは、「競争をしないこと」が競争社会を生き抜くための鍵であるという考え方です。現代社会では、常に競争意識が求められ、勝ち負けにこだわる傾向がありますが、ドラッカーは、競争に縛られるのではなく、顧客のニーズを満たすことに集中することで、真のイノベーションを生み出せることを説いています。
そして、イノベーションを実現するための具体的な方法として、「居場所」の重要性が強調されていました。これは、組織における人材育成やチームワーク、そして個人の能力を最大限に引き出すためのヒントとして、非常に参考になる考え方です。
物語は、高校野球部という青春の舞台を背景に描かれており、登場人物たちの成長や葛藤を通して、組織改革のヒントだけでなく、人生の大切な価値観についても考えさせられます。
『もしドラ』続編は、単なるビジネス書ではなく、青春小説としても楽しめる作品です。組織改革に興味のある方、ビジネスパーソンとして成長したい方、そして、青春時代を懐かしむ方、すべての方にオススメしたい一冊です。