焼肉店の経営危機、2024年度に過去最多の倒産数
昨今、焼肉店の経営が厳しさを増しています。株式会社帝国データバンクが発表した調査によると、2024年度には焼肉業者の倒産が55件に達し、前年度から倍増、さらに過去最多の記録を更新しました。これにより、多くの焼肉店が市場から姿を消す事態が懸念されています。
倒産の主な要因とは?
倒産件数が急増した背景には、コロナ禍の影響を受けた経営環境の厳しさがあると分析されています。特に、原材料の高騰や人件費の上昇が大きな要因です。多くの小規模店舗や異業種から参入した新たな焼肉店では、仕入れコストの増加をメニュー価格に反映させることが難しく、収益を圧迫しています。
例えば、2024年度の焼肉業界におけるロインやばら肉、かた肉などの輸入牛肉は、20年度に比べ1.8倍の高騰を見せています。さらに、焼肉に欠かせない野菜類も同様に価格が上昇しており、焼肉店にとっては収益を確保することがますます難しくなっています。
二極化が加速する焼肉店業界
一方で、焼肉業界の中でも大手企業と中小店舗の間で業績の明暗が分かれてきています。大手のチェーン店は、大量仕入れによるコスト削減を実現し、リーズナブルな食べ放題メニューを強化することで集客に成功しています。これにより、経費が増加しても売上を確保でき、相対的な安定を保っています。
対照的に、コロナの影響で市場に新たに参入した小規模店や異業種の店舗は、集客力の維持が難しく、しっかりとした値上げに踏み切れずに苦しんでいるのが現状です。この結果として、小規模焼肉店の多くが淘汰され、倒産件数が増加する一因となっています。
業界の今後と新たな挑戦
現時点でも、焼肉業界は厳しい経営環境が続いています。大手焼肉チェーン各社は、メニュー価格を引き上げ、新しい商品を投入することで新たな顧客層を獲得しようと努力しています。SNSを利用したマーケティングや、ショッピングセンターへの出店なども、新たな顧客開拓に向けた施策の一環です。
しかし、経営環境は厳しさを増しており、2025年度も高い倒産件数が続く可能性があります。大手に対抗できない多くの中小焼肉店では、ますます厳しい局面が待ち受けていると言えます。これからの焼肉店は、単なるメニューの値上げだけでなく、集客戦略の見直しや、経費削減に向けた新たな試みに取り組むことが求められています。
今後、焼肉店がどのようにしてこの逆境を乗り越え、業績改善を図るのか、その動向が注目されます。