京都大学発スタートアップ「エムニ」と特許翻訳の新たな幕開け
京都大学発のスタートアップ、株式会社エムニが特許翻訳に特化した大規模言語モデル(LLM)の開発に成功しました。この取り組みは、日本特許翻訳株式会社と共同で進められ、特許翻訳業界に革新をもたらすことが期待されています。
画期的な特許翻訳LLMの性能
エムニは、Meta社が開発した『Llama-3-70B』を基に、特許分野に特化したLLMをファインチューニングしました。その結果、業界で広く使用されているGPT-4oやDeepLなどの汎用的翻訳モデルを大幅に上回る性能を達成しました。
この成果により、エムニは特許翻訳の精度が飛躍的に向上し、製造業など特許を必要とする秋田において非常に有用なツールとなるでしょう。
特許翻訳業界の課題
特許翻訳は、製造業を含む多くの業界の重要な課題です。特に、外国特許を取得するためには特許明細書や回答書を英語に翻訳する必要がありますが、その際にかかるコストは1件あたり10万円以上にも及びます。従来の翻訳方法では多大な時間と費用がかかるため、AIを活用した機械翻訳のニーズが高まっています。
エムニの取り組み
エムニは、日本特許翻訳株式会社と連携し、高精度な特許翻訳を実現するために実験を行いました。学習データとして、600ペアと4000ペアの人手翻訳文を使用し、Intel Xeon CPUおよびNVIDIA RTX A6000を活用して評価を実施しました。この結果、特許翻訳に特化したLLMの性能向上に成功しました。
評価基準と結果
評価指標として「BLEU」と「RIBES」を使用し、翻訳性能を測定しました。BLEUスコアは翻訳出力の品質を示し、一般的に高品質な翻訳は40〜50とされています。一方でRIBESは語順の正確さを評価する指標です。これらの評価において、エムニの特許翻訳モデルはDeepLやGoogle翻訳、GPT-4oなどを凌駕する性能を示しました。
今後の展望
エムニは、この成功をもとに以下の二つの取り組みを強化していく予定です。
1.
独自のLLM開発支援: 特定業務に特化した法人向けのLLM開発を支援し、企業が求めるニーズに柔軟に対応します。
2.
閉鎖環境でのLLM活用: 特にセキュリティが求められる環境においても、エムニの知見を活かし、オンプレミスでのLLM開発を促進します。
まとめ
株式会社エムニの取り組みは、特許翻訳の精度向上に大きく貢献します。特に製造業界などでの速やかな情報活用が鍵となる中、エムニの提案するLLMは新しい知的財産の形を模索する企業にとって、欠かせないパートナーとなることが期待されています。今後もここから生まれる技術革新に注目が集まることでしょう。
参考情報
- - 日本特許翻訳株式会社: 特許翻訳に特化した企業。
- - 株式会社エムニ: 「AIで働く環境を幸せにする」が信念の企業。
詳細は株式会社エムニのコーポレートサイトをご覧ください:
株式会社エムニ