明治学院大学の「AI・データサイエンス教育プログラム」から、生成AIを活用した新しい感情推定技術が誕生しました。この技術は、顔の表情を分析し、個々の感情を高精度で読み取ることが可能です。
2024年11月、学生グループが発表した研究「生成AIを活用した顔表情からの表情コピーと感情マップ生成」が、日本顔学会で輿水賞を受賞しました。この賞は、独自の着想と構想で顔学の発展に寄与した研究を表彰するものであり、今回の受賞は学生にとって大きな成果です。この研究が評価された理由は、生成AI技術を用いることで、無表情な写真から様々な感情を持つ表情の画像を生成し、それを「感情マップ」として視覚的に表現できる点です。
生成AIの進歩により、特定の人物の無表情な画像を、複数の感情表現に変換できる技術がもたらされました。この研究では、特にラッセルの円環モデルを利用して、感情を感情価と活性度の二軸で表現し、個人の情緒状況を的確に推測する新たな技術を開発。この感情マップを使えば、これまで難しかった高精度な感情推定AIが可能になります。
この研究は商業分野やメンタルヘルス分野に応用が期待されており、広告の印象分析や気分の異常を早期に察知することで適切なケアにつなげることができるでしょう。研究に参加した学生たちは、実験データとして1400枚の画像を処理し、138名の学生からの主観評価を基に機械学習を行いました。
研究を指導した永田毅教授は、参加者への感謝の意を表し、学生たちの努力が本研究を成功に導いたと語っています。これにより各学部の学生が一つのプロジェクトを通じて協力したことが、学際的な成果を生んだと評価されています。
発表した学生たちも、研究への参加を通じて新しい見識を得たと感想を述べました。心理学部の中村さんは、発表時に感じた緊張を乗り越え、他大学や企業との交流を楽しんでいる様子を話しました。一方、法学部の堀越さんと遠藤さんも、新たな技術に挑戦する中で貴重な経験ができたことを強調しました。
明治学院大学では、2023年度から全学部を対象とした「AI・データサイエンス教育プログラム」を開講しており、文系学部生にとってもAI技術を学ぶ機会を提供しています。受講者数は年間約3000名を超えており、初歩から応用までの3段階のカリキュラムを組んで学習を進められるようになっています。
このプログラムは、文部科学省からも認定を受けており、情報化時代の必要不可欠な技術を学ぶ場として期待されているのです。明治学院大学は、今後も産学連携や国際的な評価に基づく研究を進め、AI分野での先端的な取り組みを継続していくことでしょう。そして、学生たちの独創的な研究が、さらなる科学の発展につながることを願っています。