アメリカの大学教育が教える思考力と成長の可能性
同志社大学を卒業し、海外の大学で学び、PhDを取得した平野克弥教授が考える大学教育の重要性について探ります。彼はアメリカの大学での指導経験を通して学生たちの成長を目の当たりにしてきましたが、特に心に残るのは低収入層の学生を対象とした最初の大学での経験です。
学生たちの現実
こちらの大学に在籍する生徒たちの多くは、家庭の事情から大きな負担を背負っています。例えば、母親が家庭を顧みず、そのために兄弟の世話をする学生が少なくありません。このような背景を持つ学生は、自己表現や文章力に課題を抱え、最初は授業についていくことも困難です。平野教授は、これらの学生が直面する現実を踏まえながら、教育の意義を感じていました。
目が輝き始める瞬間
授業では、植民地主義に関する書籍を学生たちに読み解かせ、彼ら自身の人生経験と結びつける課題を与えました。当初は文章を書くことに苦しんでいた生徒たちも、授業が進むにつれて議論に参加することができるようになり、やがて目が輝き始めるのです。15週のプログラムを終える頃には、他の教授もその成長に驚いていました。
このプロセスから平野教授は、どんな富や環境によらず、人は成長できると強く確信しました。教え子の中にはその後弁護士や高校教師となった学生もおり、彼にとっては非常に喜ばしい結果でした。
思考力の重要性
平野教授が考える大学の役割は、ただ知識を提供することだけではありません。むしろ、人文系の学問を通じて思考力や判断力を養う場所でもあるのです。情報を一元的に捉えるのではなく、多様なソースを元に自己の意見を形成したり、意義ある議論を交わすことが求められます。
この過程を通じて、学生は「クリティカル・シンキング」を身につけ、より深い理解と判断力を磨くことができます。平野教授はこの過程を「じっくりと判断すること」に重きを置いており、大学教育の持つ力を信じています。
知性、感性、想像力の育成
大学は単なる知識の蓄積だけでなく、心と頭を使って感じ、考える場であると彼は言います。教育を受けることで、知性、感性、そして想像力を育んでいけるのです。
平野克弥教授は同志社大学を卒業後、英国の大学で学び、さらにアメリカのシカゴ大学でPhDを取得しました。現在は、UCLAの歴史学部で教授として教鞭を執り、今年の4月からは関西外大国際共生学部の教授も務めています。彼の教育理念は、人が成長できる可能性を信じ、それを支えることにあります。さらに、彼の経験はこれからの教育の方向性に大きな影響を与えることでしょう。