九州の半導体産業を牽引
近年、九州は半導体産業における注目のエリアとなっています。特に、TSMC(台湾積体電路製造)が熊本に工場を開設したことや、日月光投資控股(ASE)が北九州市に新工場を計画していることは、地域の産業に大きな影響を与えています。このような背景の中、福岡工業大学(福工大)と雲林科技大学(雲科大)が決定的な一歩を踏み出しました。両大学は、TSMCが設立する「日本人コース」に関する協力関係を築き、学生を優先的にプログラムに入学させることを発表しました。
TSMCが設立する日本人コース
TSMCは2025年度から雲林科技大学内において、台湾と日本の半導体業界で活躍できる高度な専門人材を育成するための「日本人コース」を設置することを計画しています。このプログラムには、日本の高校や短大を卒業した学生が参加し、4年間のカリキュラムで半導体関連の実務知識を習得します。参加する学生には、TSMCからのサポートを受けるという大きなメリットがあります。
必要とされる専門人材
TSMCは、熊本工場の開設で日本における生産拠点を強化しており、今後のビジョンとして国内で責任を持って働くことができるエンジニアを求めています。具体的には、日本と台湾の架け橋となる人材、即ち実務的な知識と技術を有する者が必要とされています。このプログラムを介し、九州の学生たちにとっての道が開かれ、技術者として成長できる機会が提供されるのです。
雲林科技大学のプロフィール
台湾の雲林科技大学は、工学部や管理学部などを含む5つの学部から成り、約1万人の学生が学ぶ国立の高等教育機関です。1991年の設立以来、同大学は革新的な教育プログラムを展開しており、2024年の世界大学ランキングでは台湾の全大学中7位に位置しています。また、半導体分野は特に強化しており、教員の70%が実務経験を持ち、企業と密接に連携したプログラムを進行しています。
プログラムの詳細と募集要項
このプログラムは、半導体産業へのキャリアを目指す日本人学生にとって、TSMCへの入社を目指すための最短ルートとなります。コースの卒業生は全員がTSMCに入社することを目指しますが、不合格の場合でも生活補助金の返還義務はありません。福岡工業大学や附属城東高校からは、プログラムに参加するための優先枠も用意されています。
プログラム内容
- - TSMC 0+4学士課程(定員30名):対象は高校卒業者で、入学期間は2025年9月。機械系、工業、マネジメント関連分野を学んだ高校生が対象です。
- - TSMC 2+2学士・修士課程(定員30名):対象は高専や短大卒業者で、機械系学科への卒業が必要。入学は2025年9月。
- - 大学生向け中長期留学コース(若干名):全学部の大学生を対象にしたコースで、入学は2025年の2月または9月です。
このように、挑戦者たちにとって、日本の半導体業界への参加を格段に容易にするプログラムが始まります。福岡工業大学と雲林科技大学の連携が、新たな時代の人材育成の形を提案しています。