UNIDGEが発表した国内スタートアップM&A動向レポート
株式会社UNIDGEは、2024年度と2025年度に実施された国内スタートアップM&A371件の詳細な分析を行い、その結果をまとめたレポートを公開しました。このレポートは、新規事業開発やオープンイノベーション支援に関与してきた同社が現場で得た知見を基にしています。
UNIDGEは、企業が新規事業を育成する際に直面する難しさに対応するため、小規模M&AやスタートアップM&Aが有効な手段であることを示しています。特に、M&Aを単独のプロセスとして捉えるのではなく、協業や出資を通じて企業が事業開発を拡張する手法として位置づけています。これにより、買収に対する不確実性が高い案件でも段階的に関係を構築し、最終的にM&Aに至る傾向が確認されています。
調査結果の概要
1.
新興企業の買収が主流: 2025年度における国内スタートアップM&A194件のうち、買い手企業の63.9%が未上場のスタートアップや東証グロース上場企業などの新興企業でした。一方で、大手企業はわずか30.1%にとどまり、スタートアップM&Aにおける大手企業の関与にはまだ大きな余地があることが示されています。
2.
買収金額のトレンド: 今回の調査で開示されたディール規模の中央値は、2024年度が約4.1億円、2025年度が約2.8億円となりました。この結果は、5億円未満の案件が全体の約70%を占めており、大企業が新規事業開発に使用する予算と同等の規模のスタートアップ買収が可能であることを示唆します。
3.
設立から3〜8年以内のM&A: 調査に含まれた企業の65.4%が設立3〜8年以内にM&Aを行っており、これによりスタートアップ側がM&Aという選択肢を模索する傾向がうかがえます。これは、特にベンチャーキャピタルのファンド償還期間(約10年)から見ても、合理的なタイミングであると言えるでしょう。
4.
事例に見る段階的な関係構築: 三菱地所、PKSHA Technology、オイシックス・ラ・大地、江崎グリコなど、これまでのM&Aには予め協業や出資といった段階的な関係構築が存在し、これがM&Aの成功に寄与していることが例示されています。
調査の背景
UNIDGEが新規事業の開発現場で数多くの声として耳にしてきたのが、「新規事業は単独で育てるのが難しい」という現実です。約90社の新規事業開発を支援してきた中で感じていたこの実情に基づき、今回のデータ分析を行いました。
例えば、エクイティファイナンスを通じて受け取った資金を基に、スタートアップが自身のブラッシュアップを図る手法が普及しています。給付型の支援に頼らず、積極的にM&Aを検討するスタートアップが増えている状況下において、小規模M&Aは新規事業を育てるための現実的な選択肢として更に注目されるでしょう。
解説者プロフィール
土井雄介氏はUNIDGEの共同創業者であり、企業変革事業統括としての役割を担っています。彼は、「新規事業を育成するためには単独の施策だけでなく、協業を通じて戦略リターンを得ることが重要だ」と強調しています。このレポートを通じて、企業が新規事業を成功に導く手助けができればと考えています。