青少年の性行動に関する最新の調査結果
2023年7月17日、小学館から「若者の性」白書に関する報告書が刊行されました。本書は、全国12,562人の中高大学生を対象にした「青少年の性行動全国調査」の結果を詳細にまとめています。この調査は1974年に初めて行われて以来、約6年ごとに実施されており、今回で第9回目となります。調査の目的は、青少年の性行動の傾向を長期的に把握することです。
調査の背景と目的
一般財団法人日本児童教育振興財団内の「日本性教育協会」が主導するこの調査は、青少年の性教育や性に関する知識、行動、さらには家庭環境との関連を探ります。主なテーマとして、現代の社会環境が青少年の性行動に与える影響や、性的同意に関する認識と意思確認の実態、性教育の実績、さらには避妊の実践状況などが検討されました。
調査から見える「性行動の不活発化」
調査の結果、ここ数十年における青少年の性経験率が顕著に低下していることが分かりました。特に中高生のキス経験率や高校生の性交経験率は、30年以上前の水準に戻りつつあります。この傾向は、性行動の不活発化を示唆しており、社会的な変化や環境の影響が考慮されるべきでしょう。
一方で、大学生のデートや性交経験率、さらには高校生や中学生男子の性的関心は増加しており、これまでとは異なる性的行動の変化が見られます。これは、若者の恋愛観や性に対するアプローチが進化していることの証左とも言えるでしょう。
性的同意と性感染症予防のギャップ
今年の調査では、特に「性的同意」という新しい観点が取り入れられました。調査結果によると、性的同意という概念は、学校での年齢が上がるにつれて認知度が高まっています。しかし、「知っているが理解していない」という若者が一定数存在することも分かりました。そのため、性的同意が適切に確保されているのは、中学生で60%程度、高校生で80%、大学生でも70%弱と、教育的な課題を明らかにしています。
また、性感染症予防に関する知識、態度、行動についても調査が行われましたが、特にジェンダー規範の影響が指摘されています。
家庭環境と若者文化の影響
家庭環境や親子関係が青少年の性に対する認識に与える影響も無視できません。本調査では、親からの性教育の在り方が、青少年の性的行動や知識にどのように影響しているのかが分析されています。また、現代の多様な若者文化が恋愛観や性行動に与える影響も調査テーマの一つです。
性に関する悩み
本書では最後に、青少年が抱える性に関する悩みについても言及されています。性に関する知識の不足や悩みの存在は、青少年の精神的健康にも影響を与える重要な要素です。これに対する解決策や支援のあり方も模索されています。
調査の詳細な結果や分析は、ぜひ『若者の性」白書-第9回 青少年の性行動全国調査報告』をご覧ください。
貴重なデータと新たな洞察が詰まった一冊です。