日鉄エンジニアリング、次世代グリーン燃料技術研究組合への参加
日鉄エンジニアリング株式会社は、2023年3月17日付で次世代グリーンCO2燃料技術研究組合に特別賛助員として参加することを発表しました。この研究組合は、福島県双葉郡大熊町に本部を置き、CO2排出の削減と自動車用バイオエタノール生産技術の確立を目指しています。
研究組合の目的と活動
研究組合では、日鉄エンジニアリングが納入した第2世代バイオエタノール生産設備を活用し、自動車用バイオエタノール燃料の製造過程における課題を洗い出し、改善策を探ります。さらに、バイオマスの利用における水素、酸素、CO2の循環を最適化し、効率的な燃料製造技術の研究にも取り組んでいます。
バイオエタノールは、ガソリンとの混合や化学製品の製造にも利用され、脱炭素化への貢献が期待されています。また、発酵過程で得られる高濃度CO2を合成燃料の製造に再利用することや、リグニンを含むバイオマスの残渣を活用することも重要な課題です。
第2世代バイオエタノール生産設備について
当社が設計・施工した第2世代バイオエタノール生産設備は、非可食性バイオマスを原料としており、以下の4つの主な工程で成り立っています。
1.
前処理: 大豆やトウモロコシなどの可食性ではない原料を蒸煮・爆砕し前処理します。
2.
糖化: 前処理したバイオマスを酵素によって糖化します。
3.
発酵: 糖化した液体を酵母菌で発酵させ、エタノールを生成します。
4.
蒸留・精製: 発酵液を蒸留し、精製を行います。
これにより、バイオエタノールの高収率化とコスト削減が期待されます。
主要企業との協力
今回の研究組合には、多数の大手企業が参加しています。トヨタ自動車との協力により、非可食性バイオマスの前処理工程において最適化されたプロセスが確立されました。また、発酵工程ではトヨタが開発したTOYOTA XyloAce™を使用し、難しい「キシロース」の発酵効率を向上させています。
さらに、花王株式会社との協力によって、糖化工程では高効率な酵素による糖化が実現し、非可食性バイオマスの利用が進められています。このような共同研究はバイオエタノールの製造プロセス全体の効率を向上させることが期待されています。
日鉄エンジニアリングの役割
日鉄エンジニアリングは、研究組合の特別賛助員として、蓄積した技術や経験を活かし、自社が設計した生産設備の施工支援や、研究の進展に寄与していくことを目指します。本取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩を踏み出すことが期待されています。
日鉄エンジニアリングの参加により、次世代のグリーン燃料技術の確立に向けた研究が一層加速することでしょう。