経営層が直面するヒトの育成の課題
企業経営の現場で、多くの経営者が直面しているのは、ビジョンや戦略の策定にとどまらず、それを実行に移す段階での課題です。この難題に取り組むため、欧州最大級の経営コンサルティングファームである株式会社ローランド・ベルガーが実施した「第1回 上場企業CxO・経営企画責任者への意識調査」により、その実態が浮き彫りになりました。調査の結果から、経営層が抱える最大の悩みは「ヒトの育成」にあることが明確になりました。
調査の背景と目的
調査は2025年1月に行われ、全国の上場企業に属する経営層を対象にインターネットで実施されました。有効回答数は200名に達し、多様な企業の経営者の意見が反映されています。企業経営の難易度が高まる中、経営者たちはどのような課題を感じているのかに焦点を当てました。
調査の主なポイント
調査結果から、以下の4つの主なポイントが明らかになりました。
1. 経営課題が「ビジョン・戦略」の策定から「実行」へシフトしている。
2. 経営層の約90%が「ヒト」の育成に課題を感じており、管理職や現場の両方においての育成が求められている。
3. ヒトの育成が遅れることが、M&A後の収益低下に直接的な影響を与えている。
4. 企業変革の遅れも、施策検討よりも実行をリードするヒトの課題に起因している。
ヒトの育成における懸念
調査の中で特に注目されたのは、「ヒトの育成」の遅れが企業の収益にどのように影響を与えるかという点です。買収した企業や事業の収益が計画を下回るケースでは、その原因として「ヒトの育成」に対する意識が不足していることが指摘されました。企業の成功には、単に数値を越えることだけでなく、質の高いヒトがいかにその経営資源を活かすかが鍵となります。
変革を主導するヒトの選定
また、企業変革を進める上で最大の課題として「変革を主導するヒトの選定」が挙げられています。日常の業務をこなすだけでなく、突発的な変革に対応できるヒトの育成が求められています。これは、経営者が意識的に行動しなければならない領域であり、緊急時に貴重な経験を持つリーダーが必要です。
コメント
ローランド・ベルガーの企業変革チームの責任者である田村誠一氏は、「企業変革能力は、安定した環境では得られない経験からしか身に付かない」と語ります。たとえ安定した業務が行われていても、変革を推進するための経験値が不足していることが多いのです。そのため、選んだ道を正解にする能力を養うことが、現代の経営層の最も重要な職務であると指摘しています。
一方で、プリンシパルの野本周作氏も、「人材育成投資の効果測定が難しいため、経営層がヒト領域に悩んでいることがこの調査結果に現れた」と強調します。定期的な評価や総点検が求められ、必要に応じて施策の見直しを行うことが、今後の企業変革に向けた鍵となるでしょう。
結論
今回の調査は、企業が将来に向けての変化に適応するために何が必要なのかを再確認させるものでした。ヒトの育成は単なる課題ではなく、企業の命運を分ける重要な要素と言えます。ローランド・ベルガーは、今後も企業の継続的な成長を支援していく方針です。