賃上げ計画の実態
2025-02-20 14:04:19

2025年度の賃上げ計画、85%の企業が実施予定も課題残る現状

2025年度の賃上げ計画とその背景



2025年度に賃上げを予定している企業の割合が85.2%に達する見込みだ。これは、東京商工リサーチ(TSR)が実施したアンケート調査によるもので、2016年度以降の最高値となる。一方で、賃上げが5%以上と見込まれる企業はわずか36.4%にとどまり、特に中小企業では6%以上を見込む企業が9.1%と厳しい現状が明らかになった。

賃上げの背景と達成の難しさ



日本労働組合総連合会(連合)は、2025年の賃上げ目標を全体で5%以上、中小企業で6%以上と掲げているが、実際には中小企業がこの目標を達成するのは難しい状況である。その他の調査結果では、賃上げを実施する企業のうち約34.6%が持続的な賃上げの見通しを持っていないと回答している。

調査では、賃上げを計画していない理由として、49.5%の企業が原材料価格などの高騰を挙げており、この問題は多くの企業にとって頭を悩ませる要因となっている。また、価格転嫁に成功していない企業が36.4%にも達し、賃上げ実施のハードルを高めている。

実質賃金の動向と労働環境の課題



厚生労働省による2024年の実質賃金速報値は前年比0.2%減少しており、物価上昇に対して賃上げが追いついていないことが示されている。一般の中小企業は、価格転嫁が進展せず、賃金原資の捻出が難しいという厳しい状況にある。自助努力に限界を感じている企業もあり、適切な価格転嫁に対する交渉やールールの改善が急務とされている。

調査データから見える賃上げの実施内容



賃上げを実施する企業1,636社の中で「ベースアップ」を行う企業は約6割に達するが、賃上げ内容は企業規模による差が顕著であった。大企業が新卒採用の初任給の増額に注力する中、小規模企業は特に賞与の増額に依存する傾向が見受けられた。

賃上げ実施の理由については、78.0%が「従業員の離職防止」と回答し、71.7%が「物価高への対応」としている。さらに、「新規採用を円滑にするため」という回答も多いことから、企業側が人材確保を重視していることが伺える。また、業界別に見ても、製造業や運輸業などで賃上げの実施率が高いことが分かった。

未来を見据えた持続可能な賃上げのために



賃上げを持続的に実施するためには、企業の価格転嫁能力を向上させることがカギとなる。特に自助努力だけではなく、商取引関係全体で理解を深めることや、行政側の支援が求められる。大企業と中小企業の賃上げ実績との差が縮まることが期待されているが、多くの企業が置かれている困難もある。

今後、賃上げの実施が企業の競争力を向上させ、ひいては日本経済全体の活性化につながることが期待されるだけでなく、特に新世代の人材育成にも目を向ける必要がある。しかも、今後の賃金の流動性や構造が大きく変わる可能性も抱えているため、引き続き注目が集まる問題である。


画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8

画像9

画像10

画像11

画像12

画像13

画像14

画像15

画像16

画像17

画像18

画像19

会社情報

会社名
株式会社東京商工リサーチ
住所
東京都千代田区大手町1-3-1JAビル9階
電話番号
03-6910-3111

関連リンク

サードペディア百科事典: 中小企業 賃上げ 価格転嫁

Wiki3: 中小企業 賃上げ 価格転嫁

トピックス(経済)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。