介護業界の未来を見据えた新たな協業
伊藤忠グループの株式会社Belongとエムスリーグループの株式会社ロジックが、介護の「2025年問題」として知られる課題を解決するための協業を開始した。この協業は、介護サービスを取り巻く状況が大きく変わろうとしている中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)的な取り組みが求められているとの認識に基づいている。
協業の背景
「2025年問題」は、団塊世代が高齢者となり、その急増が介護サービスの需要を押し上げる一方で、介護職員の不足が非常に深刻な問題とされている。この問題に対処するには、業界全体が変革を遂げなければならない。内閣府発表の「令和4年版高齢社会白書」によると、2025年時点で75歳以上の高齢者が約2,180万人に達し、国民の約3.3人に1人が65歳以上となるという。
この状況は、介護業界における業務の効率化や新技術の導入が急務であることを示している。ロジックは、スマートフォンやNFCを活用した訪問介護業務を支援するSaaS「Care-wing 介護の翼」を開発。これにより、ヘルパーや看護師が業務内容を簡単に確認し、記録できるようになっている。介護現場は、操作が容易なこのアプリケーションの導入を進めており、現在の導入事業所は2,700を超えている。
協業内容と提供される価値
この協業により、Belongは中古スマートフォンをロジックからの依頼を受け、介護事業者に対して提供することになる。特に、業務を効率化するための最初のステップとして、スマートフォンやタブレットの確保は大きな課題となっているため、フレキシブルでコスト効果の高いソリューションを提案した形だ。
Belongの「Belong One」サービスは、法人向けにスマホやタブレットのレンタル、販売、買取を行い、中古端末を安価に提供することが特徴である。また、物価高や円安の影響を受けた現在、端末の供給に急速に対応する体制が整っており、特に医療や福祉業界において需要が高まっている。2023年の問い合わせは前年比約3倍に増加し、今後もそれに対応できる体制を整えている。
介護業界の未来に向けて
Belongとロジックは、今後も協力しながら介護DXの推進に努め、業界の効率化および質向上を目指す。さらに、この取り組みが成功すれば、2025年問題において跳ね返す力を持つ業界として、日本全体に良い波及効果をもたらすことが期待される。介護はまさに日本社会の未来に関わる重要なテーマであり、両社の取り組みは、多くの人々にとって明るい希望につながるかもしれない。
今後の進展に目が離せない。